このような例は古今東西、枚挙にいとまがありません。図2はITバブル時における光通信の株価推移です。
ITバブルの絶頂期には、24万1000円だった株価はバブル崩壊で895円まで下落しています。その下落率は99.63%で、その大暴騰と大暴落はITバブルの象徴としてよく紹介されています。また、20営業日連続ストップ安という記録は、今後も未来永劫語り継がれていくでしょう。
長く株式投資を続けていると、程度の差こそあれ、このような暴騰と暴落を描いたチャートを幾度となく見ることになります。長期投資という視点からは、業績に連動しない株価の急騰には警戒心を持って距離を置くようにしたほうが無難でしょう。
バブルの語源、天才ニュートンも大損「南海泡沫事件」
南海泡沫事件は、イギリスで1720年に起こった投機バブルとその崩壊で、現代の日常生活においてもよく耳にしている「バブル」の語源となった出来事です。
事の起こりは1711年、戦争により膨らんでいた債務により財政危機に苦しんでいたイギリス政府の意向で、南海会社が設立されました。
南海会社は政府から引き受けた負債の6%を利子として受け取りつつ、南米との貿易によって負債を整理していく計画でしたが、事態は思わぬ方向へ進んでいくことになります。
1720年になると政府債務を全額引き受ける見返りに、南海会社株の時価と国債の額面を交換レートとして発行する許可を得ました。つまり、額面100ポンドの南海会社株の株価が100ポンドであれば100ポンドの国債と交換となりますが、株価が200ポンドへ上昇すれば、200ポンドの国債と交換できるようになります。このことを利用して以下のようなスキームを実行していきます。
2.発行許可株数は交換額に応じているため、さらに100ポンド分(計200ポンド)分の株式を発行できるようになる。つまり、この時点で額面100ポンド、時価200ポンドが手元に残る
3.これを売り出して得た200ポンドは会社の利益となり株価も上昇する
4.1~3を繰り返す
株価が上がり続けることを前提とした危険極まりないスキームですが、人間というものは後になって当然と思うようなことも、渦中にあっては気がつかないものです。人々の熱狂は株価をさらに上昇させていくことになります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら