実際、同じエリアで同等の価格でありながら、新築の管理費のm2単価が中古の倍近くになっていることもある。都心では新築と中古で、同じ面積でも月の管理費の支払い額が3万円以上違う例も出てきた。
他方、修繕積立金については、多額の出費を伴うのが竣工から12年後で、主に建設会社への発注になるので、マンションデベロッパーの腹が痛むことはない。
このため、新築を売りやすくするために修繕積立金を低く抑え、数年後に不足が発生することが発覚したかのように装い、値上げを提案するということをずっと続けてきた。最近のm2単価の値下げは、新築の価格高騰による負担を和らげるための悪質なだましと考えられる。
管理費や修繕積立金は、多額の費用を入居世帯で割る形で求められるので不明瞭になりやすいうえに、1人では決められない。この判断を誤ると無駄なコストを払うことになる。マンションの購入を検討する際には、管理費・修繕積立金は専有面積で割ってm2単価を算出し、比較することをお勧めする。そして、月の返済総額(=ローン返済額+管理費+修繕積立金)を比較することだ。
大規模修繕で資産価値は上がらない
最後に修繕積立金の予算不足について私見を述べたい。これは、『マンション「大規模修繕」を予算内に抑える方法』に書いている。大雑把に言うと、大規模修繕は資産価値を上げないので、資産価値を落とさない程度に最小限に留める方法を専門家と協議したほうがいいと考えている。
そもそも大規模修繕は共用部の劣化防止であって、売買される専有部の資産価値には反映されない。現状の劣化具合を把握し、防水や防錆などはやっておかないと快適な生活が脅かされる可能性がある。
そこで必要性・緊急性で優先順位を決めて、その順番で予算の限りで進めていけばいい。大規模修繕計画の12年周期の大工事などのタイミングは目安でしかなく、その見極めが重要なので、専門家の第三者のチェックをしてから進める対応を実施したほうがいい。修繕積立金不足には必要性の低い工事の先送りで対応するという方法もあることを覚えておいてほしい。
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