安倍首相、「シングルマザー特区」が必要です! 納税者も納得する新しい支援のかたちとは
「そうか……」と納得した経営者は、山屋さんと話したあと、3人の子どもを持つシングルマザーを自分の会社で採用した。おかげで、その母親は生活保護を卒業することができた、と担当者から聞いた。
「当事者と企業と行政と私たち支援者がうまくつながったら、きっとひとり親を取り巻く状況は、もっとよくなるはず。何より、子どもの貧困を救えます!」。
岩手にシングルマザー支援特区を!
今、山屋さんは、ひとつの夢を持っている。それは前回の記事でも触れたとおり、「シングルマザー支援特区を作る」こと。適切な支援があれば、母子家庭は経済的に自立できる。長年の経験から、そう信じている。
「生活保護は平均受給年数が7.7年で平均総額1600万円かかっています。私たちが手がけたシングルマザーの就労支援事業では、半年で納税者になれるモデル(『インクルいわて 中間的就労支援モデル 包括的就労支援事業 報告書』24頁参照)があるんですよ。これを本格的に取り入れてほしい。被災地、地方都市でうまくいったら、日本全体に希望をあげられますよね」。
この取材の翌週、うれしい話を聞いた。インクルいわては、岩手県男女共同参画センターの業務委託団体になったのだ。男女共同参画を進めるための企画を一手に引き受ける。社会の矛盾や課題を凝縮された姿である、ひとり親家族に寄り添い、彼・彼女たちを力づける支援スキルがすべての人にとって有効なスキルであり、今後もっと広がっていくはずだ。
政府、行政まかせにするだけではなく
ところで、最後に知っておきたいことがある。山屋さんがひとり親支援のために立ち上がった時、サポートしたのは、日本政府や地元行政ではなく、外国生まれの団体だった、ということだ。
国際協力NGOのオックスファム・ジャパン。第二次世界大戦中、英国・オックスフォードで設立された「オックスファム」が母体で、世界から貧困をなくすため、災害や紛争時に支援を行う。
この「オックスファム」の日本法人である「オックスファム・ジャパン」は、東日本大震災後に、被災地の女性に特化した支援を行った(関連リンク)。女性の起業支援や若い女性に対する調査、そして、山屋さんが新しく作った、ひとり親支援のNPOインクルいわてを立ち上げから始まって戦略作りや事業企画により、支えた。被災県でも宮城や福島にはひとり親支援の団体があった一方、岩手県が空白地帯だったため、立ち上げから丁寧にサポートした。
オックスファムが被災地の女性支援に投じた額は2億円。これは日本国内やインド、香港などのアジア各地を含む海外、そして助成団体からの寄付によって賄われている。特徴は富裕層ではなく「学校の先生など普通の方々」(オックスファム・ジャパン)が主な寄付層ということだ。何でも政府任せにするのではなく「ふつうの人」が所得の再分配を自発的に積極的に行うことの重要性を感じる。
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