安倍首相、「シングルマザー特区」が必要です!

納税者も納得する新しい支援のかたちとは

困難さを増すひとり親の現状

近年、ひとり親になる理由の多くは離別だが、そうした状況に対応できているとは言い難い状況だった。その背景には離婚を恥ずかしいこと、と考える強固な社会規範がある。特に農村・漁村部は顔見知りで構成された共同体が多く、たとえDVがあっても離婚が難しかったり、別れたことを周囲に言えなかったり、行政窓口で生活保護を申請するのに困難を覚えたりする実状があった。

NPO法人「インクルいわて」理事長の山屋理恵さん

4年前の震災は、それ以前から困難を抱えていた、ひとり親の課題を、さらに大きなものにした。勤務先が流された、被災経験で過去の結婚生活のトラウマがよみがえった、子どもの心のケアが心配……生きにくさが上積みされていく。

そしてさらに多くのひとり親家族を生み出した。経済的、精神的に支援を必要とする人たちを支援したい。そう考えた山屋さんは、仲間と共に立ち上がった。

インクルいわてには、弁護士、司法書士、助産師、母子支援員、男女共同参画や母子支援に情熱を持つ大学生、セクシャルマイノリティーの課題に取り組む若者など、地域の男女共同参画に関わるキーパーソンが集まっている。加えて、ケアマネジャーや介護福祉士、精神保健福祉士、小学校の先生……。およそ「困っている人」がかかわりそうな、あらゆる職種の人が、山屋さんの周りに集まり、ひとりずつ異なる課題の解決に力を合わせる。

消費生活相談員時代に見た「現実」

こうした支援者のネットワークは、一朝一夕にできるものではなく、山屋さんが前職から培ってきた蓄積が大きい。山屋さんはもともと、消費生活専門相談員として盛岡市で働いていた。

子どもたちが小さい時期は主婦をしていたが、幼稚園入園を機に働きたくなって再就職を考えた。子育ての大変さも、孤立感も知った。そして試験を受け資格を取得。消費生活専門相談員になった。経済と法律、生活支援が絡んだ複雑な問題を扱うための勉強は「大変でも楽しかった」という。

消費生活相談員は市の非常勤職員というポジションだったが、山屋さんが扱った案件は深刻なものばかり。弱みに付け込まれ、100万円の布団を買わされた高齢者や200万円の絵を買わされた若者など、悪質商法にだまされた人からの相談が引きも切らなかった。

「私があきらめたら、おばあさんや若者は大金を払わされて困窮し、破産です。解決するために、法律だけでなく、ありとあらゆる手段で交渉をしました。隣の家の猫の模様まで聞け!とばかりに契約の状況、背景を聞き取り、泣き落としで説得したり」

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