ガス欠ならぬ電欠から救う、次世代EV充電器の今 簡単決済や運搬などに対応したモデルが登場

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Bee Meter VPOS Touch
Bee Meter VPOS Touchから電動バイクに充電している陽子(筆者撮影)

ベルエナジーの担当者は、さらに当製品は「EVのロードサービス以外の事業展開も可能性」だという。例えば、EVの電気を自宅に運ぶ宅配サービス。また、自動車ディーラーに設置することで、常連客などが店舗で愛車のEVを充電できるサービスなど、さまざまな活用が期待できるという。

ただし、課題もある。それは、蓄電池ユニットを最大4台使っても、合計で14kWhまでしか充電できないことだ。最近のEVは、航続距離を伸ばすために、バッテリー容量が大きくなっている。例えば、日産の「リーフ」では、40kWhバッテリー搭載車と60kWhバッテリー搭載車の2タイプを揃えるが、いずれのタイプでも、ROADIEで満充電にすることはできない。ロードサービスであれば、80kmまでの距離に充電スポットがあれば、とりあえずの緊急対応として使えるが、電気の宅配などユーザーが満充電を希望するサービスだと、かなりつらい。そのため、同社では、蓄電池ユニットの容量増なども視野に入れながら、今後展開していくのだという。

充電インフラ整備の行方

EVに関しては、‪車両や‬車載‪バッテリーのさらなる技術的進歩‬はもちろん、‪充電インフラ‬についても、まだまだ整備が必要だ。とくに電動車を所有するユーザーにとっては、出先で充電できる場所が少ないことや、ここで紹介したように、移動中に電欠した場合の対処などについての課題も残る。

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だが、逆にいえば、今は新規ビジネスを創出できるチャンスのときだともいえる。市場のニーズにマッチし、多くの課題を解消できる新サービスを提供できれば、EV関連のインフラ市場をリードできる可能性も十分にある。そうした意味で、ここで紹介したベルエナジーの取り組みは、非常に興味深い。「カーボンニュートラルの実現」という大命題のもと、これからどんなEV関連のビジネスが生まれてくるのか、ベルエナジーの事例を含め、今後の動向を注視したい。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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