ガス欠ならぬ電欠から救う、次世代EV充電器の今 簡単決済や運搬などに対応したモデルが登場

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ROADIE
持ち運びも可能なポータブルタイプのEV用急速充電器「ROADIE」(筆者撮影)

一方のROADIEは、ポータブルのEV用急速充電器だ。クルマなどで持ち運べることで、電欠して走行できなくなったEVを救護するロードサービスなどに活用できる。開発したのは、マサチューセッツ州のスタートアップ企業であるスパークチャージ社で、現地では実際にEVをレスキューするロードサービスを展開し、事業化に成功しているという。

CHAdeMOソケット
急速充電用ソケットには、現在のEVで普及しているCHAdeMOを採用(筆者撮影)

製品の構成は、容量3.5kWhの蓄電池ユニットと、車両へ急速充電を行う最大出力20kWのCHAdeMOユニットからなる。ちなみにCHAdeMOとは、急速充電用ソケットの規格で、国内で走るEVの多くに対応する。いずれのユニットも長さ600mmx幅350mmx高さ230mmというコンパクトなサイズを実現し、車両で持ち運ぶことが可能。

また、蓄電池ユニットは最大4台まで連結が可能で、1ユニットあたりの充電時間目安は10分、約20kmの走行を可能とする。4台を連結して充電した場合は、最大で80km程度まで走行することができる。なお、蓄電池ユニット自体の充電は一般のAC100V電源が使え、約4時間で満充電が可能だ。

この製品がユニークなのは、蓄電池を3.5kWh単位でユニット化したことで、ニーズに合わせて増設ができることだ。また、特定車両の必要がなく、一般車両や軽自動車などでも運搬できるため、導入コストも軽減できる。

電欠によるEVのレスキューを想定

ユニット本体
1ユニットの容量は3.5kWhで、最大4台まで積み重ねて使用可能。4ユニット連結した場合は、14kWhとなる(筆者撮影)

ベルエナジーが当製品を扱った背景には、今後EVの普及が進んでくることで、前述のように、電欠したEVのレスキューというニーズが増えてくることをにらんでいることが挙げられる。前述のとおり、EVがもし電欠した場合は、現状では‪レッカー搬送を行うしかない。だが、レッカー車への積み下ろし作業や、充電スポットまでの移動には、かなりの時間を要することが想定され、そもそもレッカー移動車を使うと費用もかかる。そうした課題は、クルマなどで搬送できる蓄電池や充電器があれば解消できるし、ニーズが増えれば事業化もしやすい。

ちなみに同社の狙いに賛同したMS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険、MS&ADグランアシスタンス、トータスカーアシスタンスは、ベルエナジーと共同で、2022年5月から‪EV向け現場充電サービスの実証実験‬を実施。電欠したEVユーザーからの電話による救護要請を受けたレスキュー事業者が、実際にROADIEを現場に運搬し、車両へ充電を完了するまでの一連業務を行うことで、‪電欠発生から復旧までにかかる時間‬などを検証している。

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