不登校の子どもが「大学受験」で注意すべき要点 勉強に入る前の段階でつまずきポイントがある
石井:そもそも、中学から勉強していないと学力的にいきなり大学受験の問題と向き合うことって難しいのではないかという気もします。安田さんは、中学から学校と距離ができたということで、また一時期は「夜の街をさまよっていた」とのことですが、そこからの受験勉強は、具体的にはどのように進めるものなのでしょうか?
安田:1つ言えるのは、大学受験をするうえで基礎学力は大事だということです。小学校3年生くらいから不登校で、まったく勉強をしていなくて読み書きや計算もおぼつかない、という状況だと、やはりそれなりに時間がかかります。これは紛れもない事実です。
石井:どの段階まで学習を終えているか、ということが1つの指標になるんですね。基礎的なところは少なくとも終えておいたほうがいい、と。
安田:絶対に無理、ということではないですが、どうしても時間はかかってしまいますね。僕の場合は中高6年間分の学習が遅れていた形ですが、それを2年かけて取り戻しました。中高6年間1日も休まず集中して勉強し続けた、という人はいたとしても少数派だと思うので、受験に必要な内容に限って集中して勉強することができれば、2~3年でやり直すことは十分可能だと思います。私は国立大学を目指していたので科目数が多かったのですが、科目数の少ない私立大学であればもっと短い期間でやり直しが可能だと思います。
正しい情報にアクセスできるかどうかがカギ
──「受験に必要な内容」を知ることがポイントになりそうですね。
安田:僕の場合は、3歳下の弟が進学校に通っていて、勉強のやり方や大学受験の情報について詳しかったので、教えてもらうことができました。これはたまたま運がよかったと思いますが、だからこそ、学校に通っていなかったとしてもそういう情報を得られる機会やツールが少しでも多くなるといいなと思っています。
1人だけで勉強することにはやはり限界があるので、適切にサポートをしてくれる人がいることも大切だと思います。いきなり独学で勉強しても、大抵の場合はうまくいかないです。
石井:情報という意味では、そもそも「不登校の自分に大学受験って可能なの? 学校に行っていなかったことが不利にはならないの?」というところがわからなくて、「不登校の自分には大学受験は無理だ」と諦めてしまう方も多そうですね。
安田:例えば、学校から推薦をもらって大学に行く、ということはさすがに不登校だと難しいとは思いますが、「高校卒業」(高卒認定も含む)の資格があれば受験の妨げになるようなことはほとんどないと考えていいと思います。
石井:一般選抜では、欠席日数の多さが問題になることはないということですね。