不登校の子どもが「大学受験」で注意すべき要点 勉強に入る前の段階でつまずきポイントがある
石井:モチベーションを保つことも含めて、「勉強を続けるコツ」を教えてもらうことが学び直しをするうえで大切なんですね。受験勉強という意味では、大学に合格することが何より大事ではありますが、そもそも高校まで学校に通えていなかった人の心情としては、「合格したとして、通い続けられるだろうか?」という不安もあると思います。その点についてはいかがでしょうか。
安田:不登校になった理由が、「教科書を見ることがそもそも苦痛」といった勉強に要因があるものでなければ、基本的には問題ないと思います。大学の学習環境は事前にある程度リサーチすることが可能なので、自分が過ごしやすい環境の大学を志望して、合格に向けて勉強することができれば大丈夫です。
石井:そのリサーチまで含めて、大学受験にあたって押さえておきたいポイントですね。
大学受験以外の選択肢は?
──「勉強に苦手意識がなければ」大学受験が社会生活への第一歩になるというお話でした。特段勉強がしたいわけではないなどの場合、大学受験以外だとどのような進路の可能性があるのでしょうか?
石井:私自身が、中学生のときに不登校になって以来、一度も「学校」というものに通わずに過ごしてきました。
その後、19歳から『不登校新聞』というメディアに関わっておりますが、その中で印象深い女性がいます。私と同世代で、同じように中学生の頃に自分でもよくわからない理由で不登校になった方でした。7~8年ひきこもっていたのですが、フリースクールに通って心を持ち直して、その後スタッフとしてフリースクールに関わるようになったそうです。30歳前後になってから、そこの生徒さんと一緒に高卒認定試験を受けるということを経験して、「意外と試験をクリアできるんだ」と感じ、その後勉強して作業療法士になりました。
安田:資格をとるために、専門学校などに入ったということですよね。30歳前後からでも、「これをやりたい」と思えたときに、道は開かれるという例ですね。
石井:そうなんです。そして、そこでの仕事では、自分が不登校だったときに感じていた、「不安なんだけど日常を楽しく過ごしたい」という感覚が、リハビリ療養中の人に通ずるところがあるらしく、過去の経験が今の仕事に生きるということを感じているようでした。
安田:その方のように、高卒認定を取ったり、そして専門学校で資格を取ったりして、就職する方は割と多いのではないかと思います。そのほかに、例えば石井さんのように、学校に行かないで就職する、つまり学歴としては中卒のままで仕事を見つけるというルートは、実現可能なのでしょうか。