世襲は「人材の壮大な無駄遣い」である経済的理由 良い悪いの感情論を超え、日本経済にマイナス
「同族企業で親子3代の社長の下で42年間働いてきました。私にとって企業と言えば同族企業です。上場企業の仕入先やメインバンクを見て色々と感じることはありますが、それと比較して自社が良いとか悪いとか、考えたことがありません」(サービス)
「わが社は、創業者の理念を大切にして堅実経営を続け、発展してきました。ただ、近年、マーケットの変化についていけない場面が多く、堅実経営の限界が顕著になっています。良い面と悪い面が交錯し、どちらとも判断できません」(小売り)
では、「良い」「悪い」と回答した幹部社員は、どういうメリット・デメリットを認識しているのでしょうか。
最大のメリットはぶれない経営
まず、メリットから。「良い」と回答した7人全員が、同族企業は「ぶれない経営」をしていると強調していました。「ぶれない経営」をしている背景として、確固たる経営理念と所有構造があるようです。
「創業者が亡くなってもう20年以上経つのですが、創業者が唱えた『チャレンジ精神』『世のため人のために働け』という理念は、いまでも従業員にしっかり根付いています。わが社が取引先から一目置かれているのは、創業者の理念を大切にして、ぶれない経営をしているからだと考えます」(エネルギー)
「わが社の株式はすべて同族が保有し、借入金もなく、経営基盤が安定しています。そのため、経営者が目先の環境変化に一喜一憂せず、金融機関の意向を気にする必要もなく、長期的な視点で事業を展開しています」(部品)
また、同族企業の経営者は、経営に臨む姿勢や意欲が、サラリーマン社長よりも優れているという指摘がありました。
「私が以前働いていた証券会社では、業績が悪くなると幹部社員が我先と逃げ出しました。今の会社では、経営者が陣頭指揮して難局に立ち向かいます。資金繰りが厳しいとき、私財を提供したこともあるそうです。やはり、自分の会社ということで、サラリーマン社長とは、会社に賭ける意気込みや責任感が段違いです」(サービス)
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