「逆境に負けない子」に育てることが今必要な理由 注目の「レジリエンス教育」とはいったい何か?

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また、興味深いことに、レジリエンスを育てていくことは、学習面にも良い影響を与えるという研究結果が多くあります。

今はひと昔前の受け身の学習法から、子どもたちが主体となって能動的に学習にとりくんでいく「アクティブラーニング」に移行しているときですし、探求学習も注目を集めていますね。

このように試行錯誤しながら学びを深めていく過程には、あきらめない力や、うまくいかない時にも気持ちを立て直す力が発揮されることで、学習面においてもよい影響を与えるのです。

幼少期からのレジリエンス教育が鍵

レジリエンスはいつからでも育てていける力です。「ここまで育ったら完成する」「この年齢になったらもう伸びない」などということがなく、経験を通してずっと育ち続ける力なのです。しかし、レジリエンスを育てるには、早ければ早いほどよいともいわれています。

そして大切なのは、発達に応じたレジリエンス教育を行うということです。

幼少期において重要になるのが、「自分の感情と上手に付き合う力」を育てることです。特に、不快な感情を持ちながら我慢できる力の存在は、以降のレジリエンスを育てることに大きく影響すると言われています。

「感情と上手に付き合う力」とは、自分の感情に気がつき、その理由を理解し、適切な対応をする力のことです。その中には、圧倒されるようなネガティブな感情に対応する力である情動制御の力も含まれます。

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この力を育てていくためには、自分が今どんな感情を感じているのかを認識するということが最初の一歩となります。

特に、怒りや悲しみのような不快感を伴うネガティブ感情は、持っているとよくないものと思われがちです。また、親としては、できるだけ子どもに感じさせたくないと考えるかもしれません。

しかし、ネガティブ感情は、自分の心と体を守り、自分でも気がつかない本当の気持ちを知るための、大切な感情であり、誰もが持っていて当然なのです。

子どもたちには、ネガティブ感情は、恐れる対象ではなく、大事なことを教えてくれる味方であり、友達であると説明しています。ネガティブ感情と仲良くする方法を身につけておくと、大きな変化や逆境を経験した際に、「ここから立ち直れる!」という大きな自信となり、子どもたちの心が育ちます。

足立 啓美 一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事

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認定ポジティブ心理学コーチ。メルボルン大学大学院ポジティブ教育専門コース修了。国内外の教育機関で10年間の学校運営と生徒指導を経て現職。現在は、ポジティブ心理学をベースとした教育プログラムの開発、小学校〜高校、適応指導教室などさまざまな教育現場で、レジリエンス教育の講師として活躍中。ポジティブメンタルヘルスや組織開発にかかわる企業研修、ポジティブ心理学コーチとして管理職向けコーチングも行う。共著に『子どもの「逆境に負けない心」を育てる本』(法研)、『イラスト版子どものためのポジティブ心理学』(合同出版)、『見つけてのばそう! 自分の「強み」』(小学館)がある。

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