「逆境に負けない子」に育てることが今必要な理由 注目の「レジリエンス教育」とはいったい何か?

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逆境や困難から立ち直る力を身につけるにはどうしたらよいのでしょう(画像:『きみのこころをつよくする えほん』)
逆境や困難に遭ったときに、そこから立ち直る力を「レジリエンス」といいます。現在、レジリエンスについては世界中で研究が進められており、この力を幼少期に育てることで、心の健康、対人関係、学業に良い影響があることがわかっています。
新著『きみのこころをつよくする えほん』では、特に幼少期において最も重要な「自分のネガティブ感情に上手に対応する力」を育てるコツを紹介しています。本稿では、絵本の監修者である日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美さんが、そもそもレジリエンス教育とはなにか、子どもへのレジリエンス教育の重要性を解説します。

レジリエンス=何事にもびくともしない力ではない

先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代を生きていくことになる子どもたち。わが子が「変化に適応する力」「逆境を乗り越える力」をもつことの必要性を感じている親御さんも多いのではないでしょうか。

このような大きな変化への適応や逆境を乗り越える力を育てる教育として、世界的に「レジリエンス教育」の重要性が高まっています。

レジリエンス(resilience)とは、心理学の領域では「逆境に負けない力・立ち直る力」のこと。近年、世界の教育現場では、レジリエンスを育て、生きる力を育む「レジリエンス教育」が進められています。

逆境に負けない力というと、「どんな困難も跳ね返す強い心」、「ストレスに動じない強さ」であると思われる方が多いと思いますが、そうではありません。そういった強い心を持っている人もいますが、多くの人は、大変なことがあると落ちこんだり、やる気をなくしたりします。

しかし、人は、つらい逆境や困難に落ちこんでも、そのつらさに耐える力、そこから回復する力を持っています。その力を「レジリエンス」と言うのです。

レジリエンス教育では、何事にもびくともしない強い心を育てることではなく、困難な状況にあって苦しみを感じても、そこから立ち直っていける「しなやかな心」を育てることを目標としています。

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