ツイッターを複数使い分ける、若者の本音 さとり世代に「二十面相」が増加中?

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なぜ裏アカウントがこれだけ広がるのか?

以上、いくつかのタイプの裏アカを例に取り、それらを使い分ける若者の実態を紹介した。その用途は人それぞれであるが、裏アカを作る若者が増えている現象の背景には、ある共通した理由が考えられる。

ここでキーワードとなるのが、「周囲への気遣い」と「自らの保身」である。今の若者は空気を読む世代と言われているように、ツイッター上でも自分本位のつぶやきで他人のタイムラインを埋めてしまうことに申し訳なさと抵抗を感じてしまうのだ。

また、関係の浅い友人や微妙な距離感の人に対して、つぶやきで本当の自分を出しすぎると「イタイ人」だと思われてしまう可能性もある。そうなることをおそれて、人間関係に細心の注意を払いつつ、それでも、自分の欲望(今回で言えば趣味をエンジョイすることや、愚痴や本音をこぼすことなど)に対して忠実になっている結果が、“裏アカ”という現象には表れているのではないだろうか。

「無趣味な若者」や「無関心な若者」等と、まるで元気がないかのように言われたりもする今どきの若者だが、裏アカのように気遣いや他者評価とは無縁な場所があれば、若者は案外、大人が思っているよりもアクティブになるのかもしれない。

原田の総評:ニッチなSNSニーズはまだ広がる

 まるで「二十面相」のようなさとり世代のツイッターの使い分けのレポートは、いかがでしたでしょうか?

ソーシャルメディアの普及によって、さとり世代は人間関係が増えすぎ、かつての若者以上のしがらみが生まれています。その結果、過剰に空気を読まねばならず、ひとつのソーシャルメディアだけでは満たされないニーズが生まれていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

大人たちは「ツイッターだけでいいじゃない」「フェイスブックだけに集約してほしいよ」と安易に思ってしまうものですが、人間関係が複雑化しているさとり世代のソーシャルニーズは複雑化しています。今後、彼らのニッチなニーズを満たすソーシャルメディアやツールが、まだまだ開発されていくことになるでしょう。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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