ガストの異物混入騒動に見た大手飲食店の泣き所 あってはならないことだが騒ぎ広がりすぎる傾向も

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1については、異物混入に限らず、顧客の声を聴くことで、さまざまなヒントを得ることができる。店舗やお客様相談窓口に上がってくる顧客の声は、顕在化した意見、極端な意見が多い。ネット上にも、クレームめいた意見も多々あるものの、潜在的なニーズや、一般的な顧客の声もたくさん上がってきている。常時、リスクをモニタリングすることは難しいかもしれないが、適宜、自分から顧客の声を傾聴してみることが重要である。

2について、1999年に「東芝クレーマー問題」以降、顧客対応の不備がネットでさらされ、バッシングされるということは継続的に起こっている。

一方で、お客が企業に理不尽な要求をする「カスハラ(カスタマーハラスメント)」も社会問題として取り沙汰されるようになっており、不当なクレームに屈しない態度は重要だ。しかしながら、正当なクレームに不適切な対応を行った場合は、そのこと自体が炎上リスクになることもある。

人為的に対応可能な領域

顧客対応は、人為的に対応することができる領域であり、スタッフの教育やマネジメントの強化によって改善を図ることも可能である。

3に関して、異物混入に限らず、リスクマネジメントにおいては、適切なタイミングで、適切媒体を活用して、適切な情報を発信することが重要になる。隠蔽を図ることは論外だが、必要以上に広く情報を発信してしまうことで、知らない人にまで問題を知らしめてしまうリスクもある。

早い段階で、現状でわかっている情報を明示しつつ、取るべき対策もセットで伝達しておくことで、メディアの批判や炎上を抑制することが可能になる。

4の事後対応は、当該問題の沈静化だけでなく、企業の信頼感を醸成するうえでも重要となる。

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