ガストの異物混入騒動に見た大手飲食店の泣き所 あってはならないことだが騒ぎ広がりすぎる傾向も

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筆者の実家は長く飲食店を経営してきたが、衛生管理の問題は常に付きまとってきた。いくら清掃や殺虫を行っても、「害虫」を完全に排除することは難しいし、薬剤の使用にあたっては、人体を害する可能性にも配慮しなければならない。

SNSで大きく拡散したり、ニュースとして取り上げられたりするのは、概して大手の飲食チェーンだが、家庭や個人経営の店舗と比べると、大手企業の衛生管理は徹底しており、異物混入が発生する確率も小さい。店舗数が多く、知名度も高いため、発生確率は低くても、異物混入が取り沙汰され、話題が拡散しやすくなる――という構造がある。

個人経営の飲食店で食べるほうが異物混入のリスクは高いし、自宅で料理をしたところで、異物混入が起こる可能性は十分にある。

極論すると、食べ物に生き物が集まってくるのは当たり前のことだ。人間以外の生き物しか寄ってこないような飲食店、人間以外が食べないような料理が、本当に安全、安心なのか? 本当に魅力的なのか? というのは、根本的な疑問としてある。

発生した問題にどう対応するのか?

いずれにしても、異物混入は避けられないし、それが拡散して企業イメージを毀損してしまうリスクも避けられない時代になっている。

異物混入はどうしても避けられないとしても、発生リスクを下げることは可能であるし、事後に誠実な対応をすることで、炎上リスク、ネガティブな報道をされるリスクを下げることも可能になる。ポイントは主に次の4点だ。

1. オンライン、オフラインで顧客の声を「傾聴」すること
2. 顧客のクレームには誠実に対応すること
3. 迅速に、適切な方法で情報発信を行うこと
4. 事後対応を徹底して行うこと
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