いとうまい子が40代から始めた「学び直し」の成果 いつか猛勉強の成果をみんなに還元したい

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──研究活動は面白いですか?

細胞相手の研究は抜群に面白いです。細胞に試薬を添加して、その結果を見るとか、同じ実験を延々と続けます。再現性が大事なので、前回よい結果が出たときは、「もう一度同じ結果が出ますように……」と祈ります。同じ結果が出ないと、データとして認知されず、論文に書けない。再現性のためには何度も方法や試薬を変えてみる。そんな日々でも心は折れず、不思議と「次はよい結果が出る」と思えるのです。

同じ実験を何度も繰り返しても決して心は折れない(写真:マイカンパニー)

根気があるというよりは、解決策が見えるまでのプロセスが大好きなのだと思う。知恵の輪、ルービックキューブ、ネックレスの絡まりとか、考えてみると何でもそう。性格なんですかね。

コツは繰り返しのみ

──社会人からはどんなアドバイスを求められますか。

よく聞かれるのは、モチベーションについて。気持ちが続かないという人が多い。私は自分のモチベーションというものを信用していない。学ぶことについて、感情で決めたことはない。感情に左右される前に週末の勉強をやめて、平日に集中しました。

計画を立てて、強制的に生活に組み込む。感情に左右されないようにする。何もしないで、動画配信をずっと見ている日もありますよ。けれど、「家事が終わったら、勉強」と決めた日は、絶対にやるしかない。

勉強のコツは繰り返しのみです。細胞を培養する実験では、難しい手順がありますが、繰り返すことで、理解が深まって、脳に定着していく。私だって、もう人に教えられるくらいの自信はありますよ。20代に比べたら記憶力は劣っていても、全然無理な話ではない。そういう実感があります。

研究者としての目標? 今は研究生として在籍していて、その期間があと2~3年の予定です。その間によい結果を出して、論文をまとめたい。その後は違う分野で学びを探したい。人間の仕組みを細胞単位から見てきたので、次はメンタルな領域に行きたい。人間の「幸せ」について科学的にどうアプローチできるのか。健康寿命の延伸を考えた場合、結局はそこに行き着くような気がします。

堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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