いとうまい子が40代から始めた「学び直し」の成果 いつか猛勉強の成果をみんなに還元したい

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自分の力の限界、弱さとの戦いなのです。提出しないで済む方法をあれこれ考えては、「いやいや、あなたは何のために講義を受けているの? 恩返しするんじゃなかったの?」という原点に立ち返る。自分を奮い立たせてはまた落ち込むという繰り返しですよ。

あるとき、週末にまとめてやろうとするから無理があるのだと気づいた。9科目履修していたので、週末にすべてをこなすのは無理だった。週末は休みにして、睡眠時間を削ってでも平日に全部済ませる。そうすると、気持ちが楽になりました。仕事が立て込んでいても、1つか2つの科目なら、週末にずれ込んでもこなせます。

「そんなテーマは無理」と言われた

──最初は予防医学、その次にロボット工学を学びます。

ずっと予防医学を続けたかったのですが、担当の先生の定年退職の影響で、変更を迫られました。ほかの学生の助言もあって、次に挑戦したのがロボット工学。プログラミングの勉強から始めたり、また新たな難題が……。コツコツと勉強を続けるしかないのです。周りのサポートを得ながら、ロボット関連の装置を作りました。

その後は大学院の修士課程へ移ります。大学4年の終盤まで、大学院というのはその存在を知っている程度で、1ミリも考えていなかった。でも、企業の方からの助言もあって、研究を大学院で続けられる道があると知った。

恩返しというゴールは遠いのですが、せっかくなので大学院へ行きたい。結局は修士課程でも終わらず、博士課程へ。高齢者の健康寿命の延伸につながるようなロボットやバイオ分野に関心があり、そのようなテーマの研究を希望していた。博士課程へ移行するときの面談では、教授たちから「ロボットをやっていた人間と、バイオをやる人間とでは基礎が全然違うから、そんなテーマは無理」と言われましたが……。

でも、それでは終われない。本当にしがみつく感じでアピールしました。バイオの講義は一生懸命受けていたので、先生たちの質問にもすべて答えられた。「ロボットをやっていた割には意外にわかっている」と評価された。

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