「世界が透けて見えるメガネ」物理を学ぶ楽しさ 中学・高校の物理は人生を「知的リッチ」にする

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このように、物理は「力」「熱」「波」の3分野からスタートし、後に「電磁気」を追加した4分野になりました。これが高校物理で習う4分野です。ですが1900年代になり、もっと深く考える人が出てきます。そこで生まれたのが「量子力学」と「相対性理論」という2つの分野。大学で習うものですね。

この2つの新しい分野は、実際に難しいです。なぜかというと、理由は2つあります。ひとつは、私たちにとって全然身近な世界ではないからです。高校で習う4分野は私たちにとって身近な世界の原理原則を扱う分野なのですが、量子力学は極端に小さい世界、相対性理論は極端に大きかったり速い世界を扱います。極端すぎて、普通の人には想像もできない世界を研究対象にするから難しいわけです。

もうひとつの理由は、従来の力学とは異なる法則で動いていること。高校物理で習う力学のことを別名、ニュートン力学とも言いますが、そこでわかったモノのコトワリを、超ミクロの世界と超マクロの世界に適応しようとしても、うまくいかないことがわかったんです。

量子力学と相対性理論は独立

つまり、独自の力学で動いている。だから量子力学と相対性理論は力学の中のいちジャンルではなく、新しい分野として独立しているんですね。相対性理論だけ「理論」ってついているから何者なのかわかりづらいですが、実は「相対性力学」などという名前がついていてもおかしくない新しい分野なんです。

要は身の回りのことは解明しつくしたから、ミクロの世界やマクロの世界に興味の対象がいかざるを得なかった、というわけです。

このように、今の物理の最先端は、またしても人間には観察しえない領域に踏み込んでいるため非常に難しいのです。

これが約2000年に及ぶ物理のざっくりとした歴史です。こうしてみると物理全体のイメージが少しつかめたのではないでしょうか?

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