「世界が透けて見えるメガネ」物理を学ぶ楽しさ 中学・高校の物理は人生を「知的リッチ」にする

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高校物理で習うものは、ほかに「電磁気」と「原子」なのですが、アリストテレスはこれらには気づかなかっただけ。というのも、観測ができなかったからです。

原子はまったく見えないので仕方がありません。では電磁気はどうかというと、彼の時代にも天然樹脂の化石である琥珀(こはく)の存在は知られていました。なんかきれいで硬い宝石みたいなのがあるぞと。しかもこれ、こするとくっつくぞと。

これは静電気なのですが、電気のことを知らなかったために説明がつかず、当時の人たちは琥珀を不思議な魔力を持った物だと思っていたんです。

また、古代ギリシャの時代にはヘラクレスの石という、ちょっとした重い物でもくっついて落ちないという謎の石があることもわかっていました。これが磁石です。

紀元前に物理の本質はとらえられていた

電気と磁気を合わせて電磁気と言いますが、これは非常に現代的なジャンルであって、アリストテレスの時代は紀元前300年という大昔です。それでもこの時期に物理の本質的なところはすでにおさえられていたというのが、私なりの新説です。

このように、自然界で起きる現象には何かしらルールがあるはずだと、先人たちが必死に考え、実験し、ようやく見つかった法則が教科書にはギッシリ書かれているわけです。

「なぜそのような法則になったのか?」は神の領域なので誰も知りません。でも少なくとも「自然界はこういう法則で動いている」ということは、かなりわかるようになりました。

たとえば紙飛行機をいかに飛ばすかといった話は力学。身の回りの現象は基本的にこの4つの分野のいずれかで説明がつきます。実際にはひとつだけではなく複合的で、たとえば電子レンジを開発するためには電気の知識と熱力学の知識と波動の知識が必要です。

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