「世界が透けて見えるメガネ」物理を学ぶ楽しさ 中学・高校の物理は人生を「知的リッチ」にする

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高校で学ぶ物理の先にも深遠な世界が広がっている(写真:metamorworks/PIXTA)
「物理ってなんだか難しい」と敬遠してきた人も多いでしょう。しかし、東京大学で教鞭を執る西成活裕教授いわく、物理は先人たちによってつくられた「世界が透けて見えるメガネ」であり、それを学ばないのはもったいないとのこと。物理とはそもそもどのようなものか、どのように生まれたのかを、西成教授に解説してもらいます(※本稿は西成氏の『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく物理を教えてください!』より一部抜粋・編集してお届けします)。

物理の起源とは?

物理ってやたらと範囲が広く感じる、と言われることがありますが、実際に広いです。物理から派生した専門分野は独立した学問としてすでにスピンアウトしていますが、そうはいってもこの世を動かしているあらゆる原理原則を解明する学問だから範囲は広くなりますよね。

高校物理はそのいいとこ取りをしたダイジェスト版で、そこで物理の世界の基本的なロジックを学んで、大学以降は専門性を深めていく感じです。

全体像がよくわからない人が多いと思うので、物理の起源について簡単にお話ししましょう。

紀元前300年のギリシャの最強の学者といえば、アリストテレスですね。人間の本性は「知を愛すること(フィロソフィア)」だという名言を残した稀代の哲学者。これが「哲学(フィロソフィー)」という言葉の語源になっています。

アリストテレスにとっての哲学とは「知りたい!」と思ったことすべてが対象でした。だから哲学っぽいことも当然やるし、政治学もやるし、物理や生物学もやるし、演劇学や心理学までもやってしまう。もし彼が東大の教授になったら、すべての学部で授業が持てるくらいのオールラウンダー、かつ天才だったんです。

そんなアリストテレスは、「この世界を構成している物は何か?」を突き詰め、最終的に世の中は「火」「水」「土」「空気」の4つの物から成り立っていると考えました。

実は、このアリストテレスの読みは非常に鋭かったんです。まず、「火」は、つまり「熱」に着目しているんですね。「水」と「土」は「力」に着目していて、「空気」は「波動」のことです。実は「熱(熱力学)」と「力(力学)」と「波動」というのは、現代の物理が扱うジャンルのうち、メインの3つなんです。これこそが物理の原型といっていい。

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