iPhoneの「気持ちよさ」が、料理さえも変える インタラクション研究者が描くIoTの未来

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

画面を持たないIoT的な道具について、渡邊氏の研究室で、いくつかの体験をすることができた。

たとえば、「LengthPrinter: 長さを実体化する1次元プリンタ」。この道具は、たとえばパソコンで購入を検討している家具やテレビの長さをセットしておき、テープを引き出すと、その長さで自動的にテープがカットされるものだ。

自動的に、必要な長さをカットしてくれる一次元プリンター、「LengthPrinter」

カットされたテープを床や壁などに貼り付けると、配置したときのイメージや、配置する場所を決めることができる。テープカッターがネットにつながっていると、われわれの必要な長さをテープ自身が知ってくれているかのような感覚になり、愛着が湧く。

また、「smoon: 計らなくて済むスプーン」は、iPadのデジタルレシピと連動し、必要な分量の粉や液体をレシピ通りに測ることができる。ひとつのスプーンで、はかりもなしに料理を進めていける体験は、とても効率的だった。ひとつの道具だけでケーキが焼けるとしたら、料理への抵抗感がいくつか取り除かれるだろう。

スプーンひとつでレシピの順に計量できる「smoon」

IoTが実生活を便利にする未来

インターネットに接続されたデバイスは、サンフランシスコでも試されている。
たとえば、2013年に取材したBlossom Coffeeは、25年間変わらなかったコーヒーメーカーを革新し、徹底的な温度管理を可能にした上で、コーヒー抽出のレシピをネットで共有する仕組みを備えたマシンだ。

このコーヒーマシンを作るために、NASAやApple、Teslaに勤めたエンジニアたちが起業し、ガレージでコーヒーのためのIoTマシンを組み立てている。

人々の不便を「いつの間にか」解決したり、今までできなかったことを実現する。そんな新しいインターネットデバイスは、おそらく、スマートフォンやタブレット、パソコンとはまったく異なる形をした、使いやすい道具になるだろう。

「ネットにつながる道具」の未来の可能性は、意外と身近なモノから始まるかもしれない。

松村 太郎 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事