博多大吉「生理の辛さは痛みだけでないと知った」 高尾美穂医師と一緒に「生理」について考える
高尾:生理痛と同様、個人差が大きいんですよ。まったくない人もいますが、約5割の人が症状を自覚しているという調査結果があります。(※大塚製薬「女性の健康と仕事への影響に関する調査」)
そのなかで日常生活に支障をきたすほど症状が重いと感じている人は約2割。アスリートも4人に3人はPMSがあるというデータもあって、決して少なくないことがわかりますね。
PMSには身体症状もあって、下腹部の痛みや腰痛、頭痛、むくみ、便秘、倦怠感や眠気、ニキビといったものがあります。それから情緒面が不安定になる人もいて、気持ちが沈む、イライラする、涙もろくなる、集中力が低下する、気が張ってリラックスできない……など。要は自分で自分のメンタルをコントロールできなくなると感じている女性が多いようですね。
大吉:昔から「生理中の女性は機嫌が悪い」といわれてきましたが、それは生理「前」からのことを指しているとすれば、一理あるということですかね。
高尾:少なくとも的外れではないと思いますね。いつもはぜんぜん気にならないことが妙に気に障って、パートナーや家族にあたってしまうなど、まわりにも影響を及ぼした経験がある人は、かなりの数にのぼるんじゃないでしょうか。
もちろんPMSだから何をしてもいいというわけでもないけれど、本人でなくパートナーや家族がPMSについて知ることで、対処できたり受け止め方が変わったりすることはあると思います。もちろんこれも生理や更年期と同様、女性が社会の一員として働くうえで企業のみなさんにも知っておいていただきたいことでもあります。
PMSの時期、女性は「幸せを感じにくい」
大吉:そう聞くと、PMSと生理を明確にわけて考える必要はなくて、どちらも「しんどいと感じる人が多い時期」と考えていいのではないかと思いますね。
高尾:そうですね。PMSはないけど生理になると具合が悪くなる人もいて、逆にPMSはつらくてしょうがないけど生理がはじまるとケロッと楽になる人もいます。そして、PMSが重いうえに、生理になるとこれまた重いという人は、1週間~10日間ぐらいずっと調子が悪いということになってしまいます。
ただ生理とPMSでは、しんどくなる原因がそれぞれ違うんですね。生理痛は受精卵を受け止めるため厚くなった子宮内膜が妊娠しなかったことで不要になったので、それを排出するために子宮が収縮するのを、痛みとして感じるんだ、とお話ししました。
大吉:はい、痛み物質が出ているんですよね。