「オートミール」がコメ好きの日本で認められた訳 いったい誰に買われているのか購買データを分析

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最後に、オートミールの価格動向を確認する。各種消費財の値上げが行われる中(詳細は特設ページ「国内で販売されている主要商品の価格推移」を参照)、オートミールの価格も上昇しているのだろうか。図表4は、オートミールの価格トレンドとして、1kg当たりの平均価格と価格帯別の容量構成比を見たものだ。

オートミールの1kg当たりの平均単価は、2021年3月に高価格帯の商品の発売により一時的に上昇したものの減少傾向にあり、2021年1月の1185円から2022年8月の1006円まで2割弱ほど下落。

価格帯別の容量構成比をみると、2021年1月には、1000~1499円の中価格の商品が90.5%と中心であった。ところが、1000円未満の低価格帯の商品の構成比が急増し、2022年8月では55.6%と過半数を占めている。

市場拡大とともに、参入業者が増加し価格競争が起こる中、割安なPB(プライベートブランド)商品も発売されるなど、低価格化が進んだようだ。市場拡大を受け、大量生産によるスケールメリットで、メーカー各社が生産コストを削減させた効果もあったのだろう。

「コスパ」も「タイパ」もいいオートミール

前述したように、各種消費財の値上げが相次いでおり、家計を圧迫している。そうした中、オートミールは低価格化によって以前よりも“お手頃な価格”で販売されている。栄養素が豊富で、手軽に調理できるオートミールは、「コスパ」も「タイパ」もいい食品として、人気となったのではないだろうか。

コロナ禍で爆発的にヒットしたオートミールについて、購入者、食べ方、価格の動向から人気の理由について見てきた。足元では好調を維持しているオートミールも、原材料の供給不足や円安などの影響により、今後は価格が上昇していくことも懸念される。

オートミールの好調が続くのだろうか。それとも新たなヒット商品が生まれるのだろうか。コロナや値上げなど世の中が大きく動く今だからこそ、新たな需要を捉えるヒット商品に期待したい。

木地 利光 市場アナリスト

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きじ としみつ / Toshimitsu Kiji

市場調査会社インテージの市場アナリスト。食品、飲料、雑貨など各種消費財のデータを分析し、新聞・雑誌・TVなど各種メディアに対して、取材対応や情報提供を実施。メディア掲載は、年間100件を超える。

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