ピザハットが「ごはんピザ」を発売する深刻理由 親会社が変わった影響とブランドイメージ強化

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そして、ピザハットの「ごはんピザMY BOX」(テイクアウト1000円、デリバリー1350円)は、2021年1月に発売され大ヒットとなった「MY BOX」のシリーズ商品だ。日本ピザハットCMO(マーケティング部長)の小田寛氏によれば、ごはんピザを開発した理由としては小麦価格の高騰や、SDGsへの対応があるという。しかし、実は同社がこの商品に込めた思いはもう少し複雑なようだ。

今回はピザハットがこのタイミングでごはん商品を発売した理由、そしてこの商品開発の裏側にある、同社の諸事情について取材した。

1999年の発売以来、不動の人気No.1を誇る「特うまプルコギ」テイクアウト1730円、デリバリー2420円/Mサイズ(写真:日本ピザハット)

まず、ピザハットについての基礎知識から確認しておくと、同チェーンは1958年アメリカで発祥のピザレストランで、日本には1970年代に上陸。1991年からは日本KFCの傘下に入り、宅配ピザ事業を始めている。しかしKFCでのピザ事業の業績は思わしくなく、赤字続きに。2017年にはエンデバー・ユナイテッド社の投資ファンドに売却されることとなる。

そしてごく最近の2022年8月31日、ヤマエグループホールディングスが日本ピザハット・コーポレーションの全株式を取得した。ヤマエグループHDは九州を根城にする企業で、食品、住宅・不動産関連の卸売業や製造業など幅広い分野の子会社を抱える。

ピザハットの子会社化は、これまでBtoBに限られていた取り扱い領域から新たな分野に広げるうえでも、また全国的な知名度アップのうえでも、同グループにとってメリットがあるようだ。

さて、ピザハットの親会社はこのように二転三転してきたわけだが、そのことがブランド自体に与える影響はやはり少なくないのではなかろうか。

「コロナ禍」という追い風

「KFC時代は出店より既存店に力を入れる方針で、店舗数も370店舗から増えることはなかった。一方、投資ファンドに移行してからは一転、新規出店に力を入れ、思い切ったマーケティング対策も実行していた。そこに『コロナ禍』という追い風が吹いた。コロナ前からの取り組みがうまく波にのって、飲食事業の中でも業績アップした企業2%の中に入ることができた」(小田氏)

確かに、同チェーンでは店舗数の変遷を公開していないものの、インターネットでは「400店を達成」という2018年9月のニュースリリースを確認できた。現在はさらに約500店舗まで拡大している。

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