ピザハットが「ごはんピザ」を発売する深刻理由 親会社が変わった影響とブランドイメージ強化

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コロナにより、中食市場は拡大傾向にある。これを受けピザチェーンはより日常的に利用してもらうことで、その市場に食い込もうとしている。例えばドミノは店舗展開を加速させ、テイクアウトでの大きな値引きや、店舗リニューアルを進めるなどの対策を行ってきている。

ピザハットも同様の道を目指すうえで、ブランドイメージ強化が急務となっている。

「赤いピザ屋」の地位を確立すべく…

「ピザチェーンのブランドの違いが消費者にあまり伝わっていない。ドミノさんのブルーというブランドカラーが浸透してきているのに対し、当社は『赤いピザ屋』の地位を確立したいと考えている」(小田氏)

生地のオプションとして耳の部分にチーズを入れた「たっぷりチーズクラスト」やソーセージを入れた「パリッと!熟成ソーセージクラスト」などがあるが、チーズとソーセージを交互に入れた生地も最近のヒットだそうだ。写真は期間限定の「スーパーカズレーザー4」(写真:日本ピザハット)

戦略の一環として、赤の衣裳がトレードマークのタレントのカズレーザー氏をブランドアンバサダーとして起用した。

また、リンガーハット、イエローハットなど「ハット」がつく企業と連携し、8月10日を「ハットの日」としたキャンペーンも展開。3社の社長が出演するCM動画はSNSで拡散され、「ピザハットのロゴにある三角の物体は、実は帽子ではなく小屋の屋根である」という事実とともにネット民を賑わしたようだ。

今回のごはんピザ発売も、ブランドイメージ強化と無関係ではない。

小田氏によると、ごはんをピザ生地に見立てた商品は業界では初めてとなる。つまり「ピザにごはんを使った」ところに、ピザチェーンとしての気概を見せたというのが小田氏の言い分だ。

また小麦を使った生地よりもごはんのほうが、日常的に食べてもらいやすいのでは、という目論みもあったようだ。

「当社としては商品で他社との差別化を目指す。例えばピザハットはアメリカのチェーンだが、トマトソースは日本人の好みに合わせ、日本独自に開発したもの。そのためファンからは、マルゲリータなども人気がある。こうした当社ならではの商品の訴求に、もっと力を入れていきたい」(小田氏)

ドミノ・ピザの「ピザライスボウル マヨじゃが」テイクアウト799円、デリバリー1099円(写真:ドミノ・ピザ ジャパンニュースリリースより)

ただ、実のところ消費者にとっては、ドミノのライスボウルとの違いがわかりにくいのも正直なところ。また、1人サイズで日常的に食べてもらえるメニューとして「ごはん」を選んだところにも共通性を感じる。あとは「ごはんメニュー」としてどちらが消費者の心を捉えるか、味の勝負といったところだろうか。

ピザハットのブランド戦略が成功するか否かは、もう少し長い目で見る必要がありそうだ。

長らくイベント食としての位置づけを維持してきた宅配ピザ。コロナを経て、中食市場を舞台にしたピザハット、ドミノ、ピザーラの三国志時代が幕を開けようとしているのかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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