1971年、アーノルドは親友のフランコ・コロンボ(ドイツ在住のイタリア人で、パワー・リフティング、ボクシング、ボディビルのチャンピオン)とともに、レンガ積みの会社を始めた。
その当時「ヨーロッパ風」の響きはエキゾチックでうける(例:スウェディッシュマッサージの流行を思い出してほしい)と思った彼らは、早速ロサンゼルス・タイムズ紙にこんな広告を出した。
「ヨーロッパから来たレンガ職人です。コンクリート、大理石にも詳しいです。お宅の煙突や暖炉をヨーロッパ風に変えてみませんか?」
親友と価格交渉を演じる
「フランコが悪い奴を演じて、僕が良い奴を演じたんだ。家を訪ねて回ると、そこの住民がこう聞いてくる。『そうだなぁ、じゃあ家の中庭を見てくれないか。どこもかしこもヒビだらけなんだ。あんたたち、新しいものに変えてくれるかな?』」
「『もちろんです』と答えると、すぐに車に引き返してメジャーを取ってくるんだ。センチメーター方式のメジャーをね。当時はこの単位を理解できる人間は誰もいなかった」
「僕たちは早速寸法をはかると、声に出して言う。『4m82㎝』って。聞いてる方は、僕たちが何を言っているのか分からない。それから紙に金額と数量、数値を書き出していく。それから家主の元に行ってこう伝えるんだ」
「『全部で5000ドルになります』。言われた方は驚きを隠さずに、すかさず『5000ドルだって? それはちょっと高すぎないか』と言ってくる」
「僕が『どのくらいだと思っていましたか?』と聞くと『2000ドルくらいか、高くても3000ドルくらいだと思っていたんだけど』と本音をもらす。そこですかさずこう返すんだ」
「『ちょっと待ってもらえますか。相方がコンクリート職人なんで、彼にもう少し安くなるようにかけ合ってみますから』ってね。そうしてフランコのところへ行って、僕がドイツ語でまくしたてるんだ」
「そんな調子でずっと続けてると、しまいにはフランコがイタリア語で僕に怒鳴りつけるんだ。その後で、フランコがまるで人が変わったみたいにおとなしくなるんだ。そのタイミングで僕はお客の元へと向かってこう告げるんだよ」
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