プーチンが「核をぶっ放しかねない」危機の本質 国際社会は崖っぷちのロシアにどう対処できるか

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本来、こうした問題を解決するために国連があるはずだが、ロシアが常任理事国である限り、本格的な動きができない。9月30日、国連安保理が、ロシアの4州併合について、非難決議をしようとしたが、ロシアが拒否権を行使し、決議できなかったと報じられている。

ロシアのウクライナ侵攻は、明らかに国連憲章や国際法違反であるにもかかわらず、ロシアは常任理事国に居座り続けている。岸田文雄首相は、9月20日の国連総会での演説の中で、その点を指摘し、国連の早期改革を呼びかけている。いずれにせよ、この核の危機には、日本を含めて世界の主要国が連携をして、解決策を考えていくしかない。

プーチンの先日のスピーチで、NATOがロシアの国土、国民を崩壊させようとしていると語ったが、調査団などを派遣して、ロシア国民に本当のことを伝えることは、国連の重要な仕事だと思える。また、国連や主要国はつねにプーチンと話し合いのパイプを持ち、「核使用のリスク」をプーチンに訴えるとともに、プーチンの精神状態を確認し続けることも必要だろう。

ロシア国民に反発は広がるか

プーチンが徴兵を宣言してから、ロシアで戦争反対デモが頻発している。ロシアは、第2次世界大戦以降、一度も徴兵をしていないので、国民にとっていかに大きな事件であるかは想像できる。ロシア国防省は30万人の徴兵というが、本当はもっと多いという噂も飛び交っている。プーチンは、一般国民からの反発だけでなく、保守派(国家主義派)からも戦況悪化の追及を受けている。前線のロシア軍のリーダー格から、SNSでモスクワの軍本部への批判が頻繁に発せられるようになってきた。

日露戦争の最中である1905年1月、その後のロシア革命のきっかけとなった「血の日曜日事件」が勃発した。サンクトペテルブルクで、戦争反対や物価高騰に抗議した民衆に対して、軍が発砲したことがきっかけとなり、デモが全国に広がった。日露戦争は、同年9月に終結している。

国際社会(特に日本を含む先進国)は、密接に連携をして「プーチンに絶対に核のボタンを押させない」という決意が必要である。そして、ロシア国民に正しい情報を提供し、民主化の動きを支援しなければならない。

土井 正己 クレアブ代表取締役社長、山形大学客員教授

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どい まさみ / Masami Doi

大阪外国語大学(現:大阪大学外国語学部)卒業、2013年までトヨタ自動車に勤務。グローバル・コミュニケーション室長、広報部担当部長を歴任。2014年から「クレアブ」(本部ストックホルム)で、外交関係の官公庁や企業のコンサルタント業務に従事。本部の上級副社長も務める。

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