仲良し組織よりもギスギスな関係の方がマシな訳 目標達成のためには葛藤や混乱も悪くはない
それは、日本選手の練習量に理由がありました。
ラグビーは、体格が大きいほうが有利なスポーツです。
世界的に見れば小柄な日本人は、強豪にはまったく歯が立たない弱小チームでした。
そこでエディー・ジョーンズは、勤勉で真面目な日本人の特性に着目して、徹底した厳しいトレーニングの「量」を選手に課すことにしました。
背中にGPSタグをつけて選手がどのくらいのスピードでどのくらいの距離を走ったのかを計測できるようにして、試合の開始直後のスピードと後半戦のスピードを比較してスタミナを見たり、サボり癖や体力の落ち方を把握し、圧倒的なスタミナと精神力を持てるようにトレーニングをさせたりしたのです。
一流のアスリートが音をあげるような過酷なトレーニングを、海外選手の何倍もの量でおこなったそうです。
結果として、スタミナはもちろん、スピードも上がり、ケガをしにくくなり、熱中症もゼロになりました。
その圧倒的なフィジカル力で、強豪を打ち破ったというわけです。
耐えられるギリギリの目標
五郎丸選手が後に、エディー・ジョーンズコーチのどこがすごかったかと問われると、「選手が耐えられるギリギリの目標を掲げるのが非常にうまかった」と答えていました。
これはチームづくりの観点から見て、とても興味深いお話です。
目標を高くすれば、関係性が壊れやすくなる。
しかし、それを乗り越えて、メンバーを巻きこみ、動機づけをして、関係性を強化して、目標を下げることなく「強いチーム」へと変革したのが、ラグビー日本代表のワンチームなのです。
目標を高くしても、必ずしも関係性が悪くなるわけではないのです。