仲良し組織よりもギスギスな関係の方がマシな訳 目標達成のためには葛藤や混乱も悪くはない
よりわかりやすくするために、野球チームで考えてみましょう。
「烏合の衆」とは、目標もなければ関係性も悪いので、ただ野球がやれるから集まっているだけの集団です。
「仲良しクラブ」は、勝たなくてもいいチームです。
試合に勝つ、強くなるといった目標がないので、メンバーがエラーしようがミスをしようが誰も咎めません。
このような「仲良しクラブ」でも、リーダーが目標をバーンと掲げると、「葛藤と混乱」が起こります。
突然、試合に勝つぞと宣言して目標に向かうことになると、勝つために練習方法を変えたり、練習頻度を増やしたり、トレーニングを強化したり、食事などの生活習慣を変えたりなど、目標達成のためのアクションをとらなくてはなりません。
すると、今まで目標のないぬるま湯にいた「仲良しクラブ」からは、反発する人が現れます。「そこまではやれない」「そんなつもりじゃなかった」「元の仲良しのみんなに戻ろう」と主張するのです。
目標を高くすればするほど、関係性を維持するのが難しくなります。
しかしチームを強くするためには、目標を高くしながら、仲間を巻きこんで関係性をよくしていかなくては、「強いチーム」にはなりません。
目標を高くすると、関係性は悪化する
高い目標を掲げると、チームの人間関係は悪化する。
これは間違いないように思います。私も、高い目標のためにメンバーがギスギスしている組織をいくつも見てきていました。
ですが、必ずしもその限りではないようです。
むしろ、高い目標を掲げることでチームの関係がよくなるという逆転現象が起こることがあります。
以前一大ブームを起こしたラグビー日本代表を再度取りあげます。2015年のワールドカップで歴史的勝利を獲得した要因の1つに、当時のヘッドコーチ、エディー・ジョーンズの目標設定の巧みさがあったと五郎丸選手は語っています。なぜ日本代表が勝てるようになったのか。