もしもがんに…「治療効果を上げる」告知の受け方 押さえておくべきポイントをがん専門医が解説

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また、最近、がんの組織を調べ、がんの遺伝子情報に合わせて治療するというゲノム医療の可能性も出てきましたから、治療前の組織検査の重要性は増しています。

組織検査なしで大きな手術をすることを推奨された場合、腫瘍によって血液中や排泄物中に増える物質である腫瘍マーカーなどの情報や、良性疾患の可能性について尋ねたほうがよいでしょう。

大きな手術の結果、摘出せずに放っておいても問題のない良性の腫瘍であることがわかって「よかったですね」と言われても、その手術で摘出した臓器の機能は戻ってきません。一方で、かなり悪性が疑われるのに、手術を躊躇して治療が遅れ、結果的に手術がうまくいかなかったら、もっと残念です。

進行が速いがんと遅いがんがある

ここで問題となるのは、いろいろな決断を急いだほうがよいか否かということです。

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がんには一般的に進行が速いがんと、遅いがんがあります。膵がんは進行が非常に速いがんとして有名ですし、前立腺がんの場合、一般的に進行はゆっくりです。

また、高齢者の場合、一般的に進行はゆっくりと言われていますが、膵がんでは高齢者でも進行は速いことが多いようです。もちろん、40代や50代といった壮年の患者さんは、進行が速いので素早い決断が要求されると思います。

複数の有名医師のセカンドオピニオンを検討し、納得して治療を受けようと思っていたら、全国あちこちのセカンドオピニオン外来受診に数カ月もかかって、当初の病状とまったく変わった結果、手遅れになってしまったなどということのないように、ご自分の病気の進行速度を予想して対処するとよいでしょう。

病状の説明を受けるときに、医師に確認しなければならないのは、次の8つのポイントとなります。病院へ行く前にメモをしておくなど、参考にしてもらえれば幸いです。

①どこのがんか?
②転移はあるのか?
③組織検査はしたのか?
④外科手術ができそうか? 一般的な再発率は?
⑤術後の生活には、どのくらいの支障があるか?
⑥現在の体力や持病のある状態で、手術を乗り越えられるか? リスクは?
⑦(手術できないと言われた場合)どんな治療があるのか?
⑧今の病院ではできないが、ほかの病院なら可能になる治療はあるのか? たとえば、放射線治療など
井岡 達也 腫瘍内科医、山口大学医学部附属病院腫瘍センター准教授

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いおか たつや / Tatsuya Ioka

1990年日本大学医学部を卒業後、自治医科大学消化器内科を経て、1997年8月~2020年3月大阪国際がんセンタ-にて膵がんセンター内科系部門長を務める。2020年4月から現職。NHK「ためしてガッテン」などメディア取材多数。多くのがん患者の治療に日々取り組む、抗がん剤治療の第一人者。特に膵癌や胆管癌の治療実績では定評がある。

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