出版不況でも売れまくる!新興音楽誌の正体

新創刊で一気にブレーク、「ヘドバン」人気の秘密

梅沢:『ヘドバン』読者ならよくわかると思いますが、メタルとアイドルを融合した「BABYMETAL」(ベビーメタル)と出会ったことがきっかけですね。2012年に目黒の鹿鳴館で開催された彼女たちのライブを見て、「もしかすると彼女たちはメタルの歴史を変えるんじゃないか」と衝撃を受けました。当時は、彼女たちをメタル側から紹介する雑誌もありませんでしたし、面白い雑誌をまた作りたいという気持ちもあったので、急いで企画書を作って、古巣のシンコーミュージック・エンタテイメントに飛び込みました。

常見:企画前から熱い思いがあったわけですね。確かに創刊号のBABYMETAL特集やVol.5の吉田豪さんによるToshl(X JAPANのヴォーカリスト)へのインタビューは、面白い雑誌を作りたいと思う梅沢さんにしか出来ない企画だと思います。あと、毎回、意外なバンドやアルバムを再評価していますね。

読者の期待を常に超える“企画術”

『ヘドバン』梅沢直幸編集長

常見:『ヘドバン』の企画の立て方は、毎号、個性的かつ刺激的です。普通の雑誌なら、小室哲哉のV2(小室哲哉とYOSHIKIによって結成されたユニット)時代に注目したインタビューなんて実現しないと思いますが、普段はどんなふうに企画を立てられるんですか?

梅沢:『ヘドバン』は基本的に季刊誌ですし、毎号決まったルールがあるわけじゃありません。

2月に発売した最新号では、「The Prodigy」(ザ・プロディジー)を取り上げました。ニュー・アルバムが出るとなって、日本ではメタル系メディア側から「The Prodigy」は絶対に取り上げないので、「うちでやったら面白いし、『ヘドバン』なら『The Prodigy』は全然アリ!」だと思いました。だから、うちの編集部が面白いと思ったものを中心に企画を考えていますね。

常見:さきほど「BABYMETALをメタル側から紹介するメディアがない」という話をされていましたけど、それこそ「The Prodigy」なんかもテクノなのか、ロックなのかわからないくらい楽曲の幅が広く、音楽雑誌としては扱いにくいバンドだと思うんですよね。そういえば生前、hideがこのバンドをかなり評価していました。そういったコアなファンがいるにもかかわらず、深い情報が手に入らないバンド、そこを『ヘドバン』はうまく突いていると思いました。

梅沢:ほかの雑誌やメディアが扱えない企画やバンドを取り上げることも、重要だと思っています。

常見:私がこの雑誌を買い続ける理由もそこにあって、毎回出るたびにプロレスの試合や、メジャーデビュー前のX(現X JAPAN)のライブを見るような期待感があるんですよね。「今度は何をしでかしてくれるんだろう。どんな記事を読ませてくれるんだろう」って。

梅沢:常見さんのような熱い読者の期待を超えていこう、そして驚かそうとは、いつも意識しています。Toshlのインタビューで聞き手が吉田豪氏というのもそれを踏まえて企画しました。あと雑誌作りはパズルと似ている気がしますね。

常見:というと?

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