出版不況でも売れまくる!新興音楽誌の正体

新創刊で一気にブレーク、「ヘドバン」人気の秘密

梅沢:作り手に熱があって、面白い企画さえ立っていれば、書き手のほうもいい記事を書いてくれますし、例えアーティストのリリースインタビューがなくても読者はついてくると思います。今回の号では、特にそれが実感できてよかったですね。

常見:以前、出演したラジオ番組で「『ヘドバン』は今いちばん熱い雑誌だ!」と紹介させていただいたのですが、やっぱり面白いコンテンツを作るためには、作り手の熱量がいちばん重要なんだなと再確認しました。でも、言葉にするのは簡単ですが、実践するのは難しそうです。

梅沢:そうですね。もちろん産みの苦しみは毎号出すたびに心身ボロボロになるぐらいにシンドイですが、ただすぐに「次が作りたい!」と思ってしまうんですよね。あとは、どんなに辛い状況でも編集部内は面白い企画を言い合ったり、くだらない冗談を言って、笑いが絶えない感じでやっていますよ。そこはすごく大事だと思ってます。

雑誌だけじゃなく多方面からメディアを作る

常見:『ヘドバン』は雑誌本体だけでなく、イベントにも力を入れていると思います。

梅沢:今までに阿佐ヶ谷ロフトAで4回トークイベントをやりましたけど、回を重ねるごとにお客さんの反響が大きくなっていって嬉しいですね。今ある音楽雑誌でトークイベントにまで活動を広げられる媒体って、あまりないとは思います。

常見:新刊を出した著者のイベントは多くありますが、雑誌発のイベントは珍しいですよね。そこが、この雑誌の価値をさらに高めていると思います。

梅沢:トークイベント以外にも、メタルやラウドロックの楽曲を中心とした DJイベントも開催しています。今後は、「雑誌」「トークイベント」「DJイベント」の3つをうまく連動させていきたいですね。ウチは小さい編集プロダクションなんですが、まだ雑誌だけに依存するのは怖い部分はあるんですよ。

常見:これだけ人気なのに?

梅沢:いくら人気でも、まだ新興の雑誌ですし、編集製作費も潤沢にあるわけではありません。日本のメタル人口を増やすためも含みつつ、多方面でヘドバンをアピールできる、そしてヘドバン色を打ち出せるイベントをやっていきたいですね。そして、それが自ずと雑誌の方に還元されていければといいかなと思います。

常見:梅沢さんがおっしゃった「多方面」という言葉が、2010年代のメディア作りのキーワードになると思います。以前出演したラジオ番組で、「音楽業界で起きたことは数年後、ほかのコンテンツ業界でも起きる」という話を聞いたんですね。

毎年、CDや音楽配信の売上げは減っていく一方で、ライブの公演数やグッズ展開は増えています。出版業界も同じで、本の売上げは減ってきたけど、イベントや講演会、ネットによるコンテンツ配信など新しい収益源を模索しています。津田大介さんと牧村憲一さんが共著で出版した『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)で書かれていたように、「これからのコンテンツは多面展開することで活路が開く」といったことが実際に起こっています。

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