迫る大量リストラ、理研研究者が募らせる危機感 日本の科学技術力に影を落とす可能性も

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雇い止め問題に揺れる理化学研究所
理化学研究所では多くの研究者が雇い止めの危機に直面している(記者撮影)

理化学研究所が計画する、2023年3月末で有期雇用が通算10年(2013年4月1日が起算日)になる研究者の大量雇い止め期限が迫ってきている(詳細は本日配信の記事「理研、大量リストラまで半年「4月1日」巡る攻防」に)。だが、現時点で訴訟を起こしたのはチームリーダーの職にある1人だけだ。多くの研究者が訴えないわけとは―。研究者のレームダック化を招く雇い止め問題は、日本の研究の発展にも暗い影を落としている。

「新しいポストに就くためにあちこちに応募してみているが、まったくだめ」

理研から2023年3月末で雇い止めされる見通しの研究者A氏(50代男性)は、10通以上にのぼる不採用通知の束を見せながら、肩を落とした。A氏は、2013年4月以前から理研に所属しており、理研でのキャリアは10年以上になる。いま手掛けている研究は国からの科学研究補助金を獲得しており、2023年4月以降の予算もまだ残っている。

この半年間、求人があれば片っ端から応募してきた。だが、面接にすらたどり着けない。刻一刻と近づく雇い止めまでのタイムリミットに焦りは募る。「新年度(2023年4月1日~)のポストの公募自体がそろそろ終了する。選考も年内くらいまでなので、もう時間がない」。

ある大学から返ってきた不採用通知には「大変多数の応募がありましたが、その中でも先生のご経歴、ご業績はすばらしいものでございました。ただ、既存教員とのバランス、所有する装置類が先生をサポートするに足りるかを考慮した結果、誠にもったいないことですがお断りの返事を差し上げる次第になりました」などと記されていた。

理研の雇い止めをめぐり、SNS上などでは「本人に実績や実力があれば次のポストが見つかるはず」といったような指摘が一部にある。研究を続けられるような主なポストは大学の教職員になるが、採用は研究者としての実力だけで決まるとは言い切れないのが実情だ。

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