理研がベンチャー出資、「数学」で世の中を解析 「数学は万物の根源」、理論とデータをつなぐ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
初のベンチャー出資を発表する理研の松本紘理事長(中央)、JSOLの江田哲也社長(左から2人目)、初田哲男理研数理創造プログラムディレクター(左端)ら(記者撮影)

日本を代表する総合科学研究所のひとつである理化学研究所が10月1日、初のベンチャー出資を行った。

出資したのは、数理科学をベースにした事業会社「理研数理」(資本金300万円)。理研グループ(理研と子会社の理研鼎業が25%ずつ)と、NTTデータと日本総研の折半出資による合弁ITコンサル会社、JSOLが折半出資(資本金300万円)して設立した。

数理という言葉に余りなじみがないかも知れないが、数学理論を使ってモデル化した情報解析の手法で、物理、工学、生物、経済学と応用範囲は広い。理研の松本紘理事長は「先人は『数学は万物の根源』と言った。理論とデータを計算でつなぐことで社会変革に貢献する」と力を込める。

戦前は「理研コンツェルン」を形成

理化学研究所は、戦前は基礎科学研究とともに、開発したシーズの実用化で得た収益を新たな研究開発に再投資する仕組みを構築しており、理研コンツェルンとも呼ばれていた。戦後の財閥解体で分割されたが、リコー、リケン、科研製薬など現在も一部上場企業として名を残すところや合併などで事業を引き継いだ会社も数多い。

これまでは法規制が厳しく、個々の研究者が自力で提携企業を探す、あるいは自らベンチャーを立ち上げるなどあまり効率的でない状態にあった。だが、2019年に改正された研究開発力強化法施行により、出資や人的支援が可能になったため、100%子会社の理研鼎業を立ち上げ、基礎研究だけでなく開発した科学技術の社会実装により社会に貢献する仕組みを作ったのだ。理研にとっては意欲ある若手研究者を社会貢献活動へ誘導し経験を積ませることで、研究への還元も見込める。

ここ数年、高齢化社会、医療、消費行動などさまざまな切り口からビッグデータを活用する流れが見え始めている。だが実際には、データサイエンティストの不足や専門家の育成が進まないなど難しい問題が山積しており、本格的な社会実装には時間がかかっている。巨大なデータも、データのままでは役に立たないのだ。

次ページ金融関連システムの実用化から着手
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事