今春に発覚した、理化学研究所が有期雇用の研究者らを2023年3月末で大量にリストラする方針を巡り、撤回を求め続けている理研労組との秋の労使交渉が9月15日の夕方に行われた。開始から間もなくで2時間になる午後5時前ごろ。理研は組合が会議の続行を求めるのを遮り、「今日はこれで終わりにします」と打ち切った。
理研関係者によると、交渉はリモート会議で行われた。理研側の出席者は個別のアカウントで出席しつつ、裏ではグループチャットを使って連絡を取り合っていたという。東洋経済は理研関係者から、その時のグループチャットのスクリーンショットを入手した。
そこには、面接を理由に会議を早々に中座した後、会議に戻れたのに戻らなかった人事部長と、他の幹部の生々しいやり取りなどが記録されていた。その一部が冒頭の内容だ。
この事実に対し、交渉に出席していた組合幹部は「少しでも早く話し合いを進めるべきだが、理研側には誠実さがない」と憤る。3月末で契約の更新を打ち切られる研究者は、「私たちには残されている時間がないのに」と悲しみの表情を浮かべた。
3月31日、大量の研究者が雇い止めに
理研は、2023年4月1日で有期雇用の通算期間が10年を超える研究者の雇用契約を、1日前の2023年3月31日で終了するとしている。
組合によると今春の段階では、研究者の雇い止めで波及的な影響を受けるスタッフらを含め、約600人が職を失う見通しだった。その後、雇い止めを待たずに理研を去った人がいるため、現時点では約400人がリストラの危機にある状況だ。
2013年4月1日に施行された改正労働契約法で、通算の有期雇用の期間が一般の会社員の場合は5年、研究者など一部の専門職の場合は10年を1日でも超えれば、労働者側は無期転換申込権を得られるようになった。雇用者側に拒む権利はない。
無期転換申込権の発生に先立ち、理研は2つの手を打っている。1つ目が、2016年4月に施行した就業規則の改定だ。理研は有期雇用の研究者の雇用上限は最大で通算10年までとすることを決め、2018年には起算日を2013年4月1日に遡ることを新たに定めた。
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