「人口減少」楽観論に逃げる日本の避けがたい未来 見たくない現実に目をそむける3つの問題点

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地方ではシャッター街が増加している(写真:pasta/PIXTA)

いま日本の人口減少が加速しています。日本の人口は、2021年10月1日現在1億2550万人で、前年から64万人減少しました。たった1年で鳥取県の人口(7月現在54万人)を上回る数の日本人が減ったわけです。

国は、1990年の「1.57ショック」以降、少子化対策を強化してきました。にもかかわらず事態が一向に改善しないのは、それだけ人口減少が難題ということです。と同時に、人口減少を楽観視する意見が強いことも、政府・国民の危機感を弱めています。

人口減少を示す統計が公表されるたびに、次のような人口減少楽観論がマスメディアやSNSに踊ります。

「明治維新の時の日本の人口は3300万人で、それからわずか150年で4倍近くに急増した。現在の人口がむしろ多過ぎるのだ」

「通勤地獄・交通渋滞・住宅問題など現在の日本の社会問題の多くが、人口減少によって解決される」

しかし、本当に人口減少を楽観的に考えて良いものでしょうか。今回は、人口減少楽観論に潜む3つの問題点を検討しましょう。

トータルではデメリットの方が大きい

人口減少楽観論の1つ目の問題点は、トータルではメリットよりもデメリットの方がはるかに大きいという現実に目をふさいでいることです。人口減少楽観論者は、通勤地獄・交通渋滞の緩和など人口減少のメリットを強調します。悲観論者は、年金・医療の財政難などデメリットを強調します。お互いが言いっぱなしの状態です。

たしかに、メリット・デメリットには多数の項目があり、一つひとつを正確に把握し、総合的に比較するのは、極めて困難です。ただ、国の資産と負債の状況に目を向ければ、大まかな結論が見えてくるのではないでしょうか。

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