「人口減少」楽観論に逃げる日本の避けがたい未来 見たくない現実に目をそむける3つの問題点

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楽観論者が言うメリットは、人口減少で社会インフラなど1人当たりの資産が大きくなる(=資産当たりの利用者数が減る)ことです。悲観論者が言うデメリットは、社会保障費など1人当たりの費用が増すことです。日本では、社会保障費などを税収で賄えず、国債の発行などで調達しており、1人当たりの負債と言い換えることができます。

財務省が公表したの国の貸借対照表(令和3年3月31日現在)によると、資産は720兆円、負債は1375兆円、655兆円の債務超過です。負債は資産の1.91倍に達しています。人口減少によって1人当たりの資産が増える額(メリット)よりも、1人当たりの負債が増える額(デメリット)の方が2倍近く大きいわけです。

もちろん1人当たりの資産の増加=メリット、1人当たりの負債の増加=デメリットとは言い切れませんし、「2倍」という数字はこれから変わっていきますが、メリットよりもデメリットの方がはるかに大きいという大小関係は間違いありません。

なお、「国は国債を返済する必要がないのだから、負債のことは無視しても良い(=資産の増加にだけ着目すれば良い)」という主張を耳にします。ただ、負債を返済しないとしても、現実に財政難を理由に年金・医療の水準が引き下げられており、負債を無視して構わないというのは、あまりにも乱暴です。

人口減少でデフレが深刻に

人口減少楽観論者が無視・軽視する2つ目の論点が、デフレです。人口減少は、デフレを深刻化させ、経済を停滞させます。2010年に藻谷浩介氏は『デフレの正体』で、高齢化・人口減少による個人消費の減退がデフレの原因であると主張しました。ところが、2013年から始まったアベノミクスでは、リフレ派の「デフレは貨幣現象である」という主張が“国教”になりました。

日銀は、リフレ派の主張を全面的に取り入れ、異次元の金融緩和を断行しました。しかし、それから10年近く経っても、金融緩和を解除できていません。「デフレは貨幣現象である」という認識は間違いで、実体経済の現象だということでしょう。

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