「人口減少」楽観論に逃げる日本の避けがたい未来 見たくない現実に目をそむける3つの問題点
人口減少という実体経済の現象がデフレを深刻化させるのはなぜでしょうか。簡単な例で説明します。
地方のある商店街に10店が営業していて、今後20年間で商圏の人口が半分に減るとします。人口減少=需要の減少に合わせて、店の数が半分の5店に減るのが自然な流れです。
ここで経済学者は、「需要の減少に合わせて20年かけて店を5店に減らせば良い」と言います。しかし、そうは簡単に行きません。どの店の主も、自分が潰れる5店にはなりたくないので、何とかお客様を呼び込んで生き残ろうと、値下げ競争をして頑張ります。
5店が競争に敗れて商店街から姿を消して最終的に5店になるまで、供給過剰の状態と値下げ競争が延々と続きます。これが、人口減少が著しい地方でデフレが収まらない基本的な構図なのです。
資金も人材も流入しなくなる
最後に、意外と注目されていない3つ目の問題点が、海外からの資金と人材の調達です。人口減少社会では、国民生活を維持するために必要な資金と人材を調達することが難しくなります。
いま日本では、巨額の財政赤字を国債発行で賄い、その国債を日本国内の金融機関が買っています。国内金融機関は、高齢者から集めた預金で国債を買っています。政府-日銀-国内金融機関-高齢者という繋がりで、国内で財政資金の調達が完結しています。
しかし、今後さらに高齢化が進み、高齢者が生活費のために銀行預金を取り崩すようになったらどうでしょうか。国債を国内金融機関だけでは消化できなくなり、海外投資家に依存するようになります。海外投資家は、借金が膨らむ一方の日本の国債を、リスクを顧みず買ってくれるでしょうか。
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