日本人の笑いが「グローバル」でなく特殊な深い訳 初対面でも通じるジョークをなぜ言えないのか

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僕は、元よしもと芸人で、同期には売れっ子が何人もいます。養成所には数百人がいて、もちろん最初から才能ある人もいましたが、99%は、最初は何もできず、そこからちょっとずつ覚えて、笑いを操作できるようになっていきました。

養成所では、最初、1分ネタを大量に作るという課題がありました。先輩のネタを模倣するところから入ったり、自分オリジナルのネタを作ったり、とにかく量産します。

いま振り返ると、あれは、引き出しづくりだったのだとわかります。笑いのパターンを、自分の中にたくさん作っていくわけです。

引き出しがある程度できると、次は、若手のお笑いライブに出演します。ライブでは10~20組が次々と舞台に登場しますが、そこには司会者がいて、1分ネタで笑いがとれるようになった芸人は、その司会者を任されるようになります。

ここでは、「今のネタはどうだった?」というような、舞台上でのアドリブの笑いが必要になります。その場に適したかたちの笑いを、どう出していけるかが、芸人としての成長でもあるのです。

これができるようになると、次はテレビへとステップアップしていくわけですが、まさに、努力によって、少しずつ笑いの技術は積み重ねていけるということです。

日本人のユーモアのタイプとは?

本書では、ユーモアのタイプについて、4つに分類されています。

・スタンダップ(攻撃的・表現力豊か)
・スイートハート(親しみやすい・さりげない)
・マグネット(親しみやすい・表現力豊か)
・スナイパー(攻撃的・さりげない)

ここは非常によくできています。ただ、日本人の場合、もっと細分化されているかなとも思いました。

ダジャレばかり言っている人は、社内で「ダジャレキャラ」になりますし、「小言キャラ」の人もいたりします。ダジャレが多い人が、さりげないというわけではありませんし、小言が多いからといって、攻撃的でもないし、表現力が豊かとは言えない人もいます。

つまり、本書の分類には入りきらないキャラクターが、この4パターンの周辺にたくさんいるというのが日本の特徴だと思うのです。

次ページ身内だけに通じるキャラから脱出せよ
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