FRBのタカ派姿勢続きアジア通貨危機再現が迫る 域内主要通貨である円と人民元の下落が先導

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アジア市場で通貨・金融危機並みのストレスが再現される恐れがある。ドル高が続く中で域内主要通貨である円と人民元が下落しているからだ。

米金融当局の超タカ派姿勢と、日本および中国の金融当局のハト派姿勢との相違が拡大したことで円と人民元は共に下落。他のアジア諸国もドル高のダメージを緩和するため、多額の外貨準備を使って自国通貨買い支えの介入を行っているものの、円と元の下落は域内各国の状況を悪化させており、リスク投資家が好む投資先としてのアジアの立場を脅かしている。

みずほ銀行の経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏は「元と円は大きなアンカーであり、両通貨の弱さはアジアで貿易や投資を行うための通貨を不安定化させかねない」と指摘。「ある意味では既に世界的な金融危機レベルのストレスに向かっており、損失が深まれば次のステップはアジア通貨・金融危機だろう」と予想した。 

アジアの二大経済大国の通貨下落を受けて、外国のファンドがアジア全体から資金を引き揚げれば、大量の資本逃避につながり、本格的な危機に陥る恐れもある。また、通貨安が通貨切り下げ競争や需要と消費者信頼感の低下という悪循環の引き金になる可能性もある。

DBSグループのチーフエコノミスト、タイムル・ベイグ氏は「為替リスクはアジア諸国にとって金利よりも大きな脅威だ」と指摘。「結局のところ、アジアは全て輸出国であり、1997年や98年の状況が再現されるのを目にするかもしれない」と述べた。

     中国と日本の影響力は金融市場で一段と顕著だ。BNYメロン・インベストメント・マネジメントの分析によると、元はアジア通貨指数で4分の1強のウエートを占める。円は世界で3番目に売買が多い通貨で、円安はアジア通貨に多大な影響を及ぼす。

アジア二大通貨の動きがそれ以外の通貨に波及する可能性が高まっていることは、これらの通貨がドル高の中でかつてないほど足並みをそろえている事実から見て取れる。円とMSCI新興国通貨指数の120日間の相関係数は4月に一時的に逆相関になる場面もあったが、先週には0.9を上回り2015年以来の高水準に達した。

原題:

Financial Crisis Redux Looms in Asia as Major Currencies Crack(抜粋)

(円とMSCI新興国通貨指数の相関係数などを追加して更新します)

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著者:Matthew Burgess、Ruth Carson、Tania Chen

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