ジョニー・デップ「既婚者との恋」が応援される訳 日本とアメリカで根本的に違う大人の恋愛観

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悪かったのは相手だから慰謝料をもらうということには、アメリカではならないのである。時々、セレブが離婚でものすごい金額を払うことになったというニュースを見ることがあるが、それは「慰謝料」(自分が悪いことをしたから謝罪の意味で払う)ではなく、あくまで財産分与だ。

稼いでいないほうが不倫をして離婚になったのに、裏切られたほうが稼いでいるがために元配偶者に払わなければいけないということは、アメリカでは多々ある。それはとてもかわいそうだと、もちろん思う。でも、その裏切った相手を選んだのは、そのかわいそうな人なのだ。

とは言っても、時には多少人々が眉をひそめる状況があったりもする。今、まさにオリヴィア・ワイルドがそんな感じだ。『ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー』で監督デビューを果たした女優のワイルド(38)は、監督第2作目『ドント・ウォーリー・ダーリン』の現場で、主演俳優で人気ポップスターのハリー・スタイルズ(28)と不倫関係に陥った。

製作に影響するようではアウト

撮影現場でワイルドとスタイルズがよく一緒に姿を消したこと、夫(コメディアンで俳優のジェイソン・サダイキス)が子供を連れてロケ地を訪れた時もワイルドは内緒で不倫を重ねていたことなどにうんざりした主演女優のフローレンス・ピューは、今作の宣伝活動にほとんどたずさわらないと決めている。

この場合、現場で姿を消し、ほかの人たちに迷惑をかけたというのが何よりの問題だ。現場のチアリーダーであるべき監督が、他人を不快にする行動を取って、士気に水を差したのである。加えて、ワイルドは、別のことで嘘をついた。スタイルズが演じた役はもともとシャイア・ラブーフが演じる予定だったのだが、ラブーフが降板してスタイルズになった。しかし、ワイルドは、自分がラブーフを「クビにした」と公に発言し、不快に感じたラブーフが証拠のメールを公開して反論したのだ。

これらのことから、ワイルドのイメージは、今、あまり良くない。だが、そんな中でも『ドント・ウォーリー・ダーリング』は北米で首位デビューを果たした。つまり、やはり一般人はそこまで気にしていないということである。

スタイルズの若いファンにはワイルドとスタイルズの恋にがっかりしている人も多いようだが、それにしたって、ワイルドが既婚者だったから(サダイキスが離婚を申請したので、ここでは過去形を使う)という以前に、おそらくは、若い自分たちから見れば完全なオバサンに取られたからだ。ワイルドが独身だったとしても、彼女らは同じくらい反感を覚えただろう。

ワイルドは、この後、マーゴット・ロビー、ブラッド・ピットと共演する話題作『バビロン』が控える。ここでもまた取材を受ける機会があるかもしれないが、ロビーやピットという大スターの影にひっそり隠れてやり過ごすことができるのではないかと思われる。そしてまた次の監督作を手がける時には、もう人はすっかり忘れてくれているに違いない。競争が厳しいハリウッドは、別のところで意外に優しいのだ。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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