発達障害の妻を「飽きない」と愛する夫が語ること 「婚活市場に出てこない男性」の心に響いたもの

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実際のところ、典代さんにとって章夫さんは大当たりだった。典代さんのほうは「仲良くしてほしかっただけ」だったが、章夫さんには結婚せずに交際するという選択肢はなかった。そして、80代半ばになる父親と今さら別居することも考えられない。

逆に言えば、章夫さんの条件は実家での同居と姓を自分のほうにすることだけ。結婚後、片付けを含めた家事のほぼすべてを章夫さんが担い、日々のことを何でもしゃべりまくりたい典代さんの相手もしてくれる。よく見れば、はっきりした顔立ちのハンサムな九州男児でもある。

結婚によって変化した生活リズムと休日の過ごし方

章夫さんは3人兄弟の末っ子で、高校を出た後は東海地方の自動車関連の大企業に就職したが20代後半で地元に戻って来た。機械関連の資格を持ちながら各種工場で働きつつ、実家で暮らし続けてきた。兄たちは結婚して独立し、母親は5年前に他界。80代の父親の面倒は自分が見なくちゃいけないと思い続けてきた。恋愛経験は乏しい。

「女友だちはいますが、恋愛にはなりません。気まずくなりたくないからです。地元に帰ってきた直後、友人の紹介でちょっと離れたところに住む女性とお付き合いしたことはあります。でも、休みが合わなかったしお互いの家が20キロも離れていたので会いにくくて続きませんでした」

50代にもなると多くの友だちが離婚したりもし、結婚への期待はほとんどなくなったという章夫さん。住み慣れた実家で、自分以上に寡黙な父親と暮らし続けるほうが気楽だと感じていた。

「父とはもともと食事は別にとっていました。私が準備だけをすれば父は好きなときに勝手に食べるという形です。結婚して妻と同居している今もその生活は変わりません」

ただし、結婚によって生活のリズムは変わった。独身時代は平日の夜は外に飲みに行って休日はダラダラと寝ているというパターンだったが、現在は家で少し飲んで朝は早めに起きて2人分の朝食と弁当作りから1日が始まる。土日はたいてい典代さんと外に出かけている。

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