マンション価格上昇でも賃料停滞の理由 利回りは低下、マンション投資は魅力薄?

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こうした賃貸物件は、富裕層の節税対策として購入されたケースが多い。2015年1月からの相続税制の改正により税率が一部アップしているが、富裕層は、立地がよくて築年数が浅いという好条件の物件を事前に押さえに走った。

そうした物件の押し上げ効果により、東京23区の築5年以内物件の賃料は、2012年1月の3539円から2014年12月の4122円まで16.5%上昇している。大阪市、名古屋市でも全体的な賃料は横ばいのままだ。

しかし、大阪では梅田駅周辺の再開発により、近接するタワーマンションはピンポイントで上昇している。名古屋においても、好業績が続いているトヨタ自動車や関連企業の従業員の出張ニーズを取り込み、名古屋駅至近のマンション賃料は上昇しているもようだ。

投資利回りは低下

ただ、貸手側の立場になると、マンション投資の妙味は薄れつつある。「2000年ごろであれば、東京23区の年平均利回りは5%程度だったが、現在は4%程度に低下。青山や赤坂などの超一等地では、4%を下回るケースもある」と東京カンテイの高橋雅之主任研究員は言う。

アベノミクスが始まる数年前に投資していたのであれば、物件によっては含み益が出ているケースもある。しかし、これから新たに購入する場合、「マンション価格がさらに大きく上昇することは見込みにくい」(高橋氏)。

大阪市や名古屋市内であれば、現在でも4%台後半から5%台の利回りを確保できるエリアもある。ただ、物件価格の将来展望という点では、東京と大差はない。

利回りが低下し、賃料上昇が見込める物件も限られる中、新規投資には慎重な姿勢が求められそうだ。

(「週刊東洋経済」2015年3月7日号<2日発売>「価格を読む」を転載)

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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