カタール航空、なぜ日本撤退説が流れたのか 羽田-ドーハ線の制約とエミレーツの影

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カタール航空は、2014年6月に羽田-ドーハ線を就航したばかり(撮影:尾形 文繁)

カタール航空といえば、アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空、エティハド航空と並ぶ中東のエアラインだ。日本からは羽田、成田、関空をカタールの首都ドーハとそれぞれ結ぶ3路線を運航している。オイルマネーによる莫大な資金力に武器に、世界の航空業界を席巻している「ガルフ3社」の一翼。そのカタール航空をめぐりこの2月に、珍事が起きた。

2月24日、カタール航空は日本のメディア向けに異例の声明を出した。「カタール航空のアクバ・アル・バクルCEOは東京都内で開かれた『日本・カタール経済フォーラム』の参加後に、日本路線を今後も継続していくことを改めて表明しました。2008年以来、日本-カタール間で約150万人のお客様をお迎えし、乗客数が年率25%の伸びを達成していることを誇りに思っています」。

日本撤退説を強く否定

つまり、「日本路線からは撤退しない」とわざわざ強く意思表示したのである。なぜ、こんなことになったのか。発端は2月上旬。「カタール航空が日本路線からの撤退を検討している」と一部で報じられ、にわかに「日本撤退説」が浮上したことにある。その火消しなのだ。

この報道について真偽はわからないが、当時各社から報道された内容を総合すると日本の航空規制によりカタール航空が経済的な不利益を被っていることが、撤退を検討する主な理由と目されていた。

客観的な事実だけを述べれば、ドーハと日本を結ぶ3路線のうち、成田線、関空線の2路線と羽田線は発着時間に数時間のズレがある。羽田が深夜早朝帯(夜22~朝7時)にしか発着できないという制限があるためである。ただ、これはカタール航空のような中東エアラインにとっては都合がよくない。というのも、中東は世界5大陸の中央に位置することから、世界各地から旅客を集め、それを世界各地へとつなぐ「ハブ空港」を軸としたビジネスモデルに定評があり、その強みを生かし切れない。

羽田-ドーハ線を単独でみても、深夜早朝時間帯での発着に限られることが利用客を限定している側面もありそうだ。機材も主力であるボーイング777やエアバスA330よりも小さいボーイング787を投入していることが、それをうかがわせる。

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