「実写版リトル・マーメイド」日本人が批判のなぜ 「白人のアリエル」を求めるのは人種差別なのか

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こうした中で、黒人やアジア人の女性を「プリンセス」として受け入れるのには(シンデレラ、眠れる森の美女、その他の多くのプリンセス映画のおかげで)、私たちはいつも以上に懐疑心を捨てなければならない。白人ではないプリンセスを見るのは、ハリウッドでは非常にめずらしいため、不自然に感じられるからだ。

そういう理由で白人のアリエルを好むのであれば、それはまったく人種差別ではないと、私は思う。しかし、あまりに多くの役柄に白人の登場人物しか見られないのは、ハリウッドによるステレオタイプ化の結果なのだ(とはいえ、これはまた別の話である)。

しかし、例えば、映画で黒人をみると気分が悪くなったり、不愉快に感じたり、黒人女性に魅力がないとか、皆に愛される人魚姫の役にはふさわしくないなどと思ったり、あるいは、黒人といえば、都会的なものや"アフリカ的"お祭り騒ぎなどしか連想できず、王室やバレエやオペラといった”伝統的”とみなされるものとは結びつけられない、という理由によって白人のアリエルの方を好むというのならば、それは、問題のある考え方に傾いていると憂慮する。人種差別的でもあるだろう。

アジアの観客は人種差別的?

残念ながら、アジアにおいて黒人はあまりいい印象ではない。その事実を、映画産業は痛感している。ソニー・ピクチャーズの役員から流出したメールには、ある役員が、別の役員に対して「海外の観客は人種差別主義的だと思う。というのも、一般的に、アフリカ系アメリカ人が主役の映画は、海外ではあまり好況ではない」と書いている。

これは、アカデミー賞を2回受賞したデンゼル・ワシントンについて書かれたものだ。つまり、ハリウッドを代表する素晴らしい俳優であるワシントンでさえ認められないのだから、ベイリーが非常に否定的な反応を受けるのは驚きではない。

海外市場が、国内映画市場と同等か、それ以上の収益をもたらすこともあるハリウッドでは、当然、顧客を満足させるために必要なことをする。アジアの映画ファンが、不愉快な気分にならないように、黒人の顔を小さくしたり、まったく消してしまうという、アジア版のポスターすらあるのが現実だ。

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