「実写版リトル・マーメイド」日本人が批判のなぜ 「白人のアリエル」を求めるのは人種差別なのか

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批判は今に始まったことではない。2019年世界中で愛されるアリエルの役をベイリーが演じることが発表されて以来、彼女は世界中で巻き起こる匿名の投稿者による、そしてしばしば人種差別的なネット上の「荒らし」による毒に対処してきた。

彼女は非常に才能のある女優であり、歌手でもある。人気テレビ番組『グロウニッシュ(Grown-ish)』のレギュラーとして活躍し、姉と人気音楽デュオ『Chloe x Halle』を結成し、歌手としても活動している。

しかし、ベイリーの演技力と圧倒的な歌唱力にもかかわらず、アリエル役に起用されたことで、多くの人が怒り、困惑している。中には黒人が白人の人魚姫を演じることはあり得ないと訴える人もいる(人魚は実在しないし、人間でもないので、彼女の人種は関係ないはずだが)。

なぜ白人のアリエルがいいのか考えてみてほしい

日本でも予告編に対してさまざまな反応が出ている。そして、今回のディズニーの選択に対する、日本での反応に一通り目を通して、私は心を痛めている。白人ではなく、黒人がアリエルに選ばれたことを批判しながら、その考え方は人種差別ではない、と信じている人が多くいるからだ。

白人のアリエルを好むこと、アニメ版のアリエルと同様のルックスを求めることは必ずしも人種差別ではないと、私は考えている。しかし、白人のアリエルを好む日本人の1人ひとりが、その好みに潜む意味を考える必要がある。アリエルが黒人であること、もしくは白人でないことに関して、自分が問題のある思想を持っていることに気付くかもしれない。

映画を楽しむには――特にディズニー映画にありがちなファンタジー映画を楽しむには――かなり懐疑心を抑えなくてはならない。いったん懐疑心をなくせば、物語に入り込むことができる。登場人物への関心も高まり、より満足のいく経験が得られる。そのために映画は、ファンタジー要素と、受け入れやすい要素のバランスを適切に保たなければいけない。

例えば、ハリウッド映画の中の王族の肌の色はほぼ限定されている。通常は1種類だけ、つまり、白人だけだ。そのため、私たちはハリウッド映画の王族にはヨーロッパの上流階級の人々を期待するようになっている。

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