新観光列車「ふたつ星」が握る西九州新幹線の命運 報道公開で明かされた最も重要な要素とは何か

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ななつ星という名前が決まるまでにも1カ月以上かかった。JR九州の古宮洋二社長が述懐する。ある休日、当時社長だった唐池恒二氏(現相談役)から古宮氏の元に1本の電話がかかってきた。豪華列車の名前を「トム・クルーズ」にしたいという。言わずと知れたハリウッドスターの名前だ。

「人の名前はだめですよ」。古宮氏は笑って否定した。その後、唐池氏が第2案を提案。「和と書いて“なごみ”はどうかな?」。古宮氏は「それでは演歌の題名みたいです」とそれも却下。そもそも和(なごみ)という列車は他社ですでに運行しているし。

今回の観光列車のネーミングでは「自分の提案も却下された」と古宮氏が明かす。「新幹線かもめの周囲を廻る観光列車。だから“かもめのほとり”という名前を提案したんですけどね」。ほかにも、海の神様として知られる「えびす」に由来した名前にするといった案もあった。これらを押し退けて決まったふたつ星というネーミングは、車両デザインを担当した水戸岡鋭治氏も気に入った。「星は昔から魔除け、厄除けの象徴だ」。

外観は「パールメタリック」

9月15日、完成したふたつ星の車両がJR九州の車両工場「小倉総合車両センター」で報道公開された。ふたつ星は3両編成。3月に引退した観光列車「はやとの風」の車両2両、さらに「いさぶろう・しんぺい」の予備車1両の合計3両を1編成として改造した。

ふたつ星のベースとなったはやとの風の外観は黒を基調としていたが、ふたつ星は白。正確にいうと「パールメタリック」という白系の色だ。メタリックを使うことで太陽の光に照らされると車体がキラキラと輝いて見えるという。「海や空に映える効果を狙った」とJR九州の担当者が胸を張る。

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