日本が「円安地獄」にハマって抜け出せない真因 日本と欧米でインフレ要因は大きく異なる
世界的なインフレと、それに対抗するための金利上昇が、日銀に大きなジレンマを与えている。もし日銀が国内事情だけを考慮するのであれば、金利をゼロに近づけるのは至極当然のことである。だが、その副作用として円相場は急落し、欧米との金利差が拡大するのと連動して円安が進み続けている。
日銀の黒田東彦総裁は、円安は日本の輸出を押し上げるので「純便益」であると、繰り返し述べている。しかし、円安が進みすぎた結果、今やコストのほうがメリットを上回るようになっている。円安は食料品、エネルギー、その他の必需品の価格を上昇させている。
さらに、6月の調査では、調査対象の企業の半数近くが円安により打撃を受けていると答えた(「円安が業績に貢献している」と答えたのはわずか3%だった)。そのうえ、日銀が認めているように、円安は過去ほど輸出を押し上げてはいない。
日本での価格上昇は食料品とエネルギーに偏っている
日本、アメリカ、そしてヨーロッパを襲うインフレは、それぞれ異なるものであり、それゆえに異なる対策が必要である。
2022年4〜7月期の日本のヘッドラインインフレ率(食料品やエネルギー価格を含む総合インフレ率)は2.2%と、アメリカの8.6%、ユーロ圏19カ国の8.1%に比べて低いだけでなく、その原因も異なる。
日本のインフレ率の88%は輸入集約的な食料品とエネルギー製品に起因しているが、これらは個人消費の27%に過ぎない。残りの項目、すなわちコア指標は、日本のインフレ全体の12%に過ぎず、アメリカの61%、ユーロ圏の32%をはるかに下回っている。
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