日本が「円安地獄」にハマって抜け出せない真因 日本と欧米でインフレ要因は大きく異なる

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加えて、企業投資は2019年のピークから9%減少している。円高を補強するための金利引き上げは、その回復を阻む逆風をさらに強めることになる。さらに、7月の公式の失業率は2.5%に過ぎないが、これとは別に3.7%の労働人口が「被雇用者(であるが)就業していない」、つまり何の仕事もしていない被雇用者が政府の補助金で給料をもらっていると記載されている。

民間内需がこれほど弱く、国内で生み出されるインフレ率がこれほど低いなかで、黒田総裁が金利引き上げに反対するのは理解できる。しかし、この政策の代償として、円の急降下が続く可能性がある。

円安を受け、黒田総裁は10年債金利を0.25%以上に引き上げざるを得ないと考える金融トレーダーは少数派である。そのため、彼らは6月に日本国債を大量に売却し、黒田総裁の決断を促した。日銀は彼らの動きを制するために、わずか1週間で800億ドルという前代未聞の出費をしなければならなかった。

間違いなく、金融トレーダーたちはさらなる試みを行うであろう。しかし、そうなれば黒田総裁の決意はさらに固まる。もし市場が最終ラインの0.25%を突破したなら、どこで止まるのだろうか。過去25年間、「日銀は利上げを阻止できない」と賭けた人たちは、トラック一杯の大損を繰り返してきた。日銀に不利な賭けをする人たちはこう言い返す。「今回は違うんだ」。

円はまだ激しく揺れ動く

黒田総裁にとって良いニュースは、FRBが主要な政策手段であるオーバーナイト金利を引き上げていても、10年債金利は同じようには動かないということである。政策金利の引き上げは一時的なものに過ぎないからだ。

実際、FRBによる引き締めが景気後退を引き起こすと投資家が懸念する場合、10年債の利回りは政策金利よりも低くなることが多い。9月上旬には1.65%から2.4%に引き上げられたにもかかわらず、10年債の利回りは6月の時点よりも低くなった。

したがって、FRBが9月20〜21日の会合で政策金利をさらに引き上げ、予想されている通りその後の会合でも引き上げを続ける場合、10年物金利がどのような動きを見せるかはまだわからない。アメリカのインフレと金利の動向に関するムードスイングも円を上下させる。

シートベルトを締めたほうが良いだろう。円は激しく揺れ動くことになる。

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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