「副業をしたい!」と考えがちな人が持つ大問題 将来の不安が消えない中でやることは正解か

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冒頭で、最高の投資先は本業に注力し結果を出すこと、と申し上げたのはそういった理由です。ITさんにはまず、不安や不満の背景を考えていただき、そして本業である現在の仕事の成長性や将来性を考え、そのうえで注力すべき本業において結果を出す、という順番で物事を考えていただきたいのです。

現時点においては、ITさんご本人は労働市場や社会において、ご自身の「軸」を形成できていない状態のようにお見受けします。

まずは、その軸を打ち立てることから開始しましょう。

急がば回れ、です。

とある分野でいちばんになった経験をもつヒトは強いものですし、その経験を活かしてほかの分野でも活躍できる可能性も高まります。

中途半端な現状で、漠然とした不安や不満を抱えて、ほかに目移りして戦力を分散させてはいけません。

まずは本業で実績を出し、自分の名前を打ち立てる。そのうえで、本業と関わりのある分野で多角化を図る。これがいちばん大切なことです。

周りの評価で自分の価値を判断しないほうがよい

なお、先ほど、あえて「他者からの評価という観点での自分の価値」と言いましたが、世間や他者の評価のみを気にしたり、そういった周りからの評価のみにおいて自分の価値を判断しているうちはまだまだ中途半端な状態です。

何かで結果を出し、そのことに慣れてくると、自分にある程度自信を持つことができます。そして自信をどんどんつけていけば、「最大の評価は自分からの評価だ」と気が付くときが来ます。

つまり自分なりの価値観で、自分をどう評価するかが、他人からどう思われるかよりもより重要であると気が付くのです。

その頃には、自分自身でも自分なりの幸せの形や成功の形を理解していて、自分にとっての「良い人生」の定義ができあがっているはずです。

そして、そうなると不安や不満は存在しなくなるはずです。

不安や不満は、多くのケースが漠然とした状態や対象から生まれます。反対に具体的に目指すゴールのイメージや対象を持っていれば、不安や不満よりも希望を持つことができます。

不安だからと言って、「安心できるほかの何か」を探しても、そんなものは存在しません。不安を払拭するような、本業における実績を出す。それがいちばんリターンが見込め、また長期的に安心材料を提供しうる投資先なのです。

ITさんがそういった考え方で、優先順位を整理する。そして注力する対象を探し、小さな軸を打ち立て、その結果として大きな軸をもった社会人として成長していくことを、応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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