「3歳園児バス置き去り」過熱報道に欠けた視点 同じ事件を二度と起こさないために何が必要か
それでも保護者から「こちらの幼稚園は大丈夫なのか」「人数確認はどれだけどういう形で行っているのか」などの問い合わせがあるなど、関係者の精神的・肉体的負担は増す一方。これまで丁寧に取り組んできた園ほど「やっていたのに」とやり切れない気持ちになるほか、負担が増えたことでかえってミスにつながることもありうるでしょう。
ただ、今回の事件は自分事として注意すべきである一方で、レアケースであることもまた事実。大半の園が丁寧に行っていることだけに、過剰な心配やプレッシャーは園と保護者の間に疑心暗鬼や不信感を生むなど関係性を揺るがせるだけでしょう。
メディアはいたずらに危機感ををあおるのではなく、これらのような現状やフォローも報じるべきではないでしょうか。
文科省や厚労省のサポートが不可欠
いずれにしても、各園の個別対策だけでは限界があり、外部からのサポートが必要なのは間違いありません。
幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省、認定こども園は内閣府の管轄であり、安全管理に関しても福岡で事件が起きた1年前に通知をしていましたが、今回の事件を見る限り、それが出しっ放しの状態になり、浸透していなかったことになります。今後は継続的な通知に加えて、一斉調査や抜き打ちチェックなどの対策が行われるのではないでしょうか。
さらに、「事件の背景に、人手や教育の不足、精神・肉体の疲弊、関係者の高齢化、金銭的な経営難はなかったか」などの分析。また、同じ事件を起こさないための具体的な対策を示すほか、テクノロジーなどのサポートをこれまで以上に行っていく姿勢が求められますし、メディアはそれを注視してほしいところです。
今回、事件を起こした園の存続は、静岡県による特別監査の後に判断されるようですから、これ以上、外部の人々が怒りの声をぶつける必要性はないでしょう。前述したように、部外者の怒りは再発防止につながらず、被害園児を悼むことにもなりません。
また、この園だけでなく、あなたの街にある幼稚園や保育園も苦しい状況に陥っていないか。彼らの最大の使命は「子どもたちの命と心を守ること」であり、それに日々奮闘する姿に優しい目を向け、サポートできる社会でありたいところです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら